恋花火。...3

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『なに？』

そのままジッと見つめる朝海の目線が何か言いたげだった



〈そろそろさ、話してくれてもいーんじゃない？〉



ひとつゆっくりと瞬きをした朝海


『なに.....
〈なにが？とか言わないでね？わかるよね？？〉

呆れたような顔で俺を見る朝海の視線



ここには逃げ場はないようだ...



そう悟って
ゆっくりと口を開いた。



『あの花火の日、俺はあの場所に行けなかった。

朝海と話して、次の日の夜に俺Aちゃんに電話したんだ。
謝ったし、大丈夫だとも言ってくれた。
東京戻ることは知ってたけどまさかさ、このタイミングだとは思ってなかったから...
最後に会ってお礼言いたかったって言ってたんだAちゃん。
だから...申し訳なくてさ。』


久々に口にしたAちゃんの名前

わかってはいたけど

胸の奥の方からじわじわと広がった色の濁った雲が肺まで広がる感覚

そんなことを自覚しながらも
いつもと同じように穏やかに少しだけ笑った


そんな俺を見た朝海も小さく微笑んで

〈...わかった。もうあの日何があったかは聞かない。
でも...教えて。
あの日、
【行かなかった】の？【行けなかった】の？〉

そう真剣な表情で聞いた。






『俺は.....会いたかったよ...

...朝海はさ、Aちゃんに会った？元気にしてるの？』

今だって会いたい

言葉にしてしまいそうで

その気持ちを覆い隠すように言葉を続けた


〈...うん。...元気にしようとしてる...かな。〉

『なんだよそれ、元気なんじゃないの？』

〈倫也と一緒なんじゃない？〉

『俺と？』

〈うん。ふたりとも一緒。元気にしてるふりが上手い。
でもわたしそういうの見抜くの上手いから。〉



バレてる...

いや朝海は昔からそういうとこは本当鋭い

...けど


『いや、俺はさ、仮にそうだとしてもなんでAちゃんが？向こうでなんかあったの？電話でも東京がやっぱり合ってるって言ってたし楽しそうに話してたけど...』

俺が考えてもしょうがないのかも知れないけど

理由がわからない

俺は君の笑顔が好きだから

東京でまた楽しそうに過ごす君を思い浮かべて

君が幸せなら

君が笑って過ごせているなら

それでいい

それでいいんだって

言い聞かせて毎日を過ごしてたんだ

なのに...

















〈ねぇ、倫也。...あんたがAが居なくなってから抱えてる気持ちとAが倫也と離れてからの気持ちが同じかも知れないっては思えないの...？〉

朝海は優しく笑っていた...

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