FKの少し甘い日常-F-

ミルクティー -F-5 Last ページ5

「…ほんとうにどこにいても『きたやまと逢った瞬間からデートは始まってる』んだね」


きたやまがマイコに言った言葉だったが、反芻しながら真理だな、と思う

「今俺、すごくどきどきしてる」



こんなに長いこと一緒にいるのに、会うたび新鮮などきどきをくれるきたやまとの時間は、本当に、どこにいる時でもデートしてるみたい


きたやまと同様に、早まっている鼓動を知って欲しくて、きたやまの手に上から手を重ね、心臓まで運んだ


きたやまはこんな時とても照れ臭そうにする

きっと今俺の背中で恥ずかしがっているに違いない

その表情を思い浮かべると、愛おしさがますます込み上げて、
その存在の全てを愛したくて堪らなくなる




「きたやま」


「…何」


「キスしていい？」



聞けば、ぴくんと揺れる身体

少しだけ迷っているのがわかる


お互い歯止めが効かなくなってしまったら、きたやまが寝不足で仕事に行くことになってしまう

だから俺も今日は会わないつもりでいたんだ



「ふ…深いのはなしだからな…」


「…キスだけじゃ終わらなくなっちゃうもんね」
　



「き…今日はえっちもなし、だぞ」


「…気をつけるよ」


迷いながらも譲歩するきたやまの、身体の向きを変えて、合わせるだけのキスをする


するときたやまからも返って来たキス


腰に腕を回し合い、キスをしながらそのままベッドに向かい、ふたり並んで腰掛ける


自分から今日はなしと言っておきながら、誘うようなうるうるの瞳


1箇所に集中し始める熱に気づかないふりをして、なんとか宥める



「…今日はなしでしょ？」

「…ん」

「よし、じゃあ着替えて寝よう」


甘い空気を振り切るように立ち上がると、俺の腕を掴んで再びそれを阻むきたやま



「どうしたの？」

何でもないように聞けば、








「…明日早く帰って来て」








我慢できなくなったきたやまの、赤く蒸気した顔と、水分を含み始めた目



甘い甘い、

さっき淹れてくれたシロップ入りのミルクティーみたいな顔




こんな表情が見たかったんだ





もう一度ベッドに腰掛け、きたやまを抱きしめた後、




「明日、急いで仕事終わらせて帰ってくるから

きたやまも早く帰って来てね」




伝えると、俺の胸の中で、こくんと頷いた





-ミルクティー-




-end-

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