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海風が俺の頬を撫でる。それがくすぐったいような、気持ち良いような感じがして、思わず目を細めた。視界の隅ではおれの黒い癖毛が揺れている。
「黄昏てるのォ…どうしたんじゃ、A!」
『別に黄昏てるわけじゃ……ちょ、煎餅のカス飛び散ってる!!汚ねェ!』
バリバリと良い音を鳴らしてじいちゃんは煎餅のカスを飛ばした。注意しても、じいちゃんは豪快に笑ってまた煎餅を咀嚼する。
「にしても…お前も逞しくなったなァ」
『……誰のせいなんでしょ』
「じいちゃんが好きだからってそんなに褒めることなんて…」
『褒めてねーし』
ジト目で見たってじいちゃんにはなんの効果もないこもは既に知っている。じいちゃんの部下は大変だな、こんな奴が上司なんて。
ホント、ご苦労様です。いつもすみません。ウチのじいちゃんが自由人で…
心の中でそう言っていると、じいちゃんと視線がぶつかった。いつのまにか、あの大きな煎餅は食べ切られていた。
「…Aは立派な海軍になるんじゃぞ」
…言えねー。
未来の弟たちと海賊になるなんて言えねー…。
そう思うほどしんみりと言うものだから、おれは気まずくて目を逸らした。逸らした先でじいちゃんの部下と目があって、さらに気まずくなる。
その海兵はおれらの元へと歩いてきて、敬礼した。
「あ、あの!ガープ中将!」
「なんじゃ」
「今…この船はどこへ向かっているのでしょうか!」
…え?どういうこと?
この船、ドーン島のゴア王国に向かってるんじゃないの?
恐る恐るじいちゃんを見れば、ニッと口元に弧を描いていた。あれ、嫌な予感…
「決まっとるわ…
『…はァァァァァァァア!?!?!?』
偉大なる航路!?なんで!?
「あの、中将のお孫さんは帰さなくても…?」
「構わん!!」
『構わんじゃねーよ!家に帰せ!!』
「やだ!!」
『わがまま!!!!』
やだ、じゃねーよ。早く山に帰りたい。ホームシックってわけじゃないけど、おれ早くエースにサボを紹介して貰いたいんだから!!
「お前は立派な海兵になるんじゃ。ならば、海軍本部にて、大将共と会わせてやろうかと思ってな!」
…海軍本部、大将…?
爆弾が投下され過ぎて脳みそが追いつかなくなった。
おれは今、海軍本部に連れて行かれて大将に会わされようとしてる…??
じいちゃん悪いけどおれ海賊希望なんだってば!!!
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笑舞♪(プロフ) - 潮見さん» コメントありがとうございます!1番!!めちゃくちゃ嬉しいです…!更新頑張ります! (2022年10月29日 16時) (レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
潮見 - 面白すぎます!ASLの兄貴っていう作品の中で1番好きです!更新楽しみにしてます〜 (2022年9月26日 8時) (レス) @page39 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
笑舞♪(プロフ) - 紅碧さん» コメントありがとうございます!好みドンピシャ!嬉しいです!これからも更新頑張りますね〜! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
笑舞♪(プロフ) - seeenraaaさん» 返信遅くなり、すみません。も幸せだなんて…!嬉しい限りです。これからも、頑張って更新しますね! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
紅碧(プロフ) - めちゃくちゃ最っ高でした!!私の好みにドンピシャでニヤニヤしながら見ちゃいましたw続き楽しみにしています! (2022年9月20日 21時) (レス) @page36 id: 48ad6ad27f (このIDを非表示/違反報告)
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