・ ページ21
Aside
サボと出会い、約3ヶ月後。おれは、街に出ていた。
山で熊や鰐を仕留めて、その皮や肉を売り払って金にする。それを使って、いろいろ買い物をした。おつりは自分のための貯金と弟たちにあげるつもりだ。
「ちょいとそこの兄ちゃん」
そう声を掛けられて、おれは声の方に顔を向けた。視線を向けた先には“果物屋”という文字。皺くちゃの笑顔が可愛いおばちゃんがその店の中で手招きをしていた。
「ウチの果物、食べてかないかい？お金は取らないよ」
無料で果物食べてくれ？試食ってことか？毒とか入ってんじゃねーの、コレぇ。……まぁ、いっか。
『是非！』
小さく切り分けられた果物の内一つに爪楊枝を刺して、おばちゃんはおれに皿を差し出す。
んー……悪魔の実、っぽくは無いなぁ。残念ながら。そんなことを思いつつ、爪楊枝を摘んで果物をパクッと食べた。
うまぁ……！！
爪楊枝で果物を刺し、もう一つ食べた。相変わらずの美味しさ。これ無料って、良いの？なんか申し訳なくなってきた。
「……これはね、とある年寄りの独り言だと思っておくれ。
私ゃ、耐えられないんだよ。この国の異常性に…。君もそうは思わないかい？君は……そうだね。もう慣れてしまったのかもしれない……そうなりゃ、悲しい限りだねぇ。これは、通常な訳ないのにねぇ」
果物を一つ、また一つと食べながらおれはおばちゃんの“独り言”を聞いた。憂いとも嘆きとも、怒りとも思うような言葉だった。
この国の異常性とは
このおばちゃんは人間として腐ってない。
『……おれそろそろ行きますね。弟たちが待ってるので。
食べさせてくれた果物、買っていきます。それから、また来ます！その時はまたお話ししましょう！！』
おばちゃんは驚いた顔をした。そして、顔に皺を作って優しく笑った。
果実の重みが腕に伝わって、口角が上がる。よし、帰ろう。弟たちの元へ。
ーーー
エースとサボが海賊貯金を貯めている場所に着いて、違和感を感じた。居ない。いつもならいるのに。
見聞色の覇気を使って見つけ出そうとした時、男に声を掛けられた。
「“エース”と“サボ”を知らねェか？」
血の気が引いた。瞬時に全てを悟る。自分は遅かったのだと。
見聞色の覇気を使う。見知った気配が3つ。そう遠く無い場所にある。おれはその場に向かって走り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1392人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
笑舞♪(プロフ) - 潮見さん» コメントありがとうございます！1番！！めちゃくちゃ嬉しいです…！更新頑張ります！ (2022年10月29日 16時) (
レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
潮見 - 面白すぎます！ASLの兄貴っていう作品の中で1番好きです！更新楽しみにしてます〜 (2022年9月26日 8時) (レス) @page39 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
笑舞♪(プロフ) - 紅碧さん» コメントありがとうございます！好みドンピシャ！嬉しいです！これからも更新頑張りますね〜！ (2022年9月24日 15時) (レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
笑舞♪(プロフ) - seeenraaaさん» 返信遅くなり、すみません。も幸せだなんて…！嬉しい限りです。これからも、頑張って更新しますね！ (2022年9月24日 15時) (レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
紅碧(プロフ) - めちゃくちゃ最っ高でした！！私の好みにドンピシャでニヤニヤしながら見ちゃいましたw続き楽しみにしています！ (2022年9月20日 21時) (レス) @page36 id: 48ad6ad27f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
