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「ごめんね、可愛かったからからかっちゃった
でも、本当に敬語じゃなくていいよ。
距離感じる気がして、なんか嫌だから」
「…」
「俺、もっとたくさん話したいし、Aちゃんのこと知りたいな」
そこで気づいた。
彼は、私を女優だからとかじゃなくて、本当に一人の女の子として接してくれている。
からかうでもデコピンでも、ただの意地悪じゃなくて私にリラックスして欲しくてアクションを起こしてくれているんだということ。
変に憧れのyoutuberと線引きをしていたのは私だけで、
自分がされたらあまり嬉しくないことをりょうくんにしてしまっていた。
画面の中を見ていた私もためらってこんなに敬語になってしまうのに、いま彼はどれだけの勇気を出して私に接してくれているだろうか。
いろいろ考えたらむくれてる自分が急に恥ずかしくなって、
「…うん、ごめんね」
と謝る。
「りょうくんのこと、正直ちょっと最初はなんでご飯誘ってくれたんだろうって警戒してた。
それとか、憧れとかもあって、敬語が抜けずにいたのかも。ごめんね」
「謝らんでよ。俺こそいっぱいデコピンしちゃってごめんね」
「…あーあー、商売道具が傷ついちゃったなー笑」
「ずるいって、本当に正式に謝罪しないといけないやん」
「うそだよ」
「ごめんって」
そう言って、彼はまた手を伸ばして
私のおでこを軽く撫でた。
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作者名:雨粒 | 作成日時:2020年9月2日 13時