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地獄の敬語禁止ドライブが始まった。
罰ゲームはりょうくんのデコピン。
案の定私は敬語が全く抜けなくて、容赦のない罰が何度も何度も浴びせられる
りょうくんは元から敬語取れてるんだから、おかしい、こんなのゲームバランスが崩れてる。
長い指が何度も私のおでこを弾く。
「いったっ」
「もーこれで何回め？俺逆に指痛くなってきたんだけど」
「絶対に私のおでこの方が痛いですよ…」
「あ、はい〜また言った〜」
「え、嘘、やだやだ、もういや」
半べそでおでこをさする。
やりすぎだよ、私の大切な商売道具の一つが泣いてるよ。
「もうギブ？」
ギブも何も、りょうくんが言い出したんだけど？
言葉に出せない抵抗の意味を込めて、りょうくんのことをじーっと睨む
「わ、びっくりした、めっちゃ怖い顔してた」
「いやです、いや、やだ、もう痛い」
「うん笑」
「やめよう、もう、第一、運転に集中、してよ」
「はは笑」
カタコトの私が相当面白かったのか笑い出す
こっちは真剣だぞ。
「はは…ごめんって」
「もー、ぜったい、ゆるさない、からね？」
「ごーめーん」
「反省して、ないだろ！」
「その喋り方やめて笑」
またりょうくんがツボに入る。
仕方ないじゃん、敬語禁止なんだもん。
むくれたので、だんまりを決め込むことにした。
「…あー、おもしろ」
「…」
「本当に可愛い」
「…」
「ねえ」
「…」
「黙っちゃった」
「…」
「ねえ、怒っちゃった？」
「…」
怒ってはないけど、だって痛かったんだもん。
だんまりを続けていると、
「Aちゃん？」
私の名前を呼んで、彼の手がほんの僅かに髪に触れる。
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作者名：雨粒 | 作成日時：2020年9月2日 13時
