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...





「おい」



臣さんの聞いた事もない静かな低い声に何故か私がびびる




胸板で兄を押し除ける様に私との間に入った臣さん。





「いくら兄妹だからって、俺の女になにしてんの?」




きっと周りからみれば、よくある兄が妹にちょっかいをかけている程度



そんな空気感なのに気づいてくれた臣さん、凄い怖いオーラが臣さんの背中しか見えないのに伝わってきた。





「すみません!」



父が慌てて兄の首根っこを掴み一歩下げさせる



そんな父にも何も言わずに私の方へ振り返った臣さんは、私の手をつないで歩き出した





「A、登坂様に粗相のないように気をつけなさいよ」

すぐに義母の声がして





「ご心配なく完璧な妻ですよ。」



臣さんは背中を向けたまま適当にあしらった。




控え室に戻る途中でおじ様方に捕まった様子の岩田さんに「もう帰る」と告げ口をして歩き続ける臣さん




慌てた様子で追いかけて来た岩田さんは


「えー、臣さん勘弁してくださいよ。主役ですよ?」


もう既に控え室のドアノブに手をかけた臣さんにそう嘆いた。





「みんなもう俺たちの事なんか気にも止めてないよ。適当にやらせといて」




岩田さんに告げると同時に私を控え室に入れて扉を閉めた。






2人だけの空間






臣さんはさっき強く掴まれた私の腕を優しく手に取って




「赤くなってる」




ボソッと呟いて
赤くなった場所を親指のひらで優しく撫でた。





「大丈夫?...じゃないか」





臣さんの優しさに




さっきの恐怖に





色んな感情が私を襲う。





泣いちゃダメだ





"どんなに辛くても笑って、貴女の笑顔が大好きだから"





お母さんの口癖が脳裏によぎって




目にたくさん涙が溜まった顔で
目一杯の笑顔を臣さんに見せて答えた




『大丈夫です!』





目に溜まった涙で臣さんの顔がぼやける




流したく無い涙が目の中で収まりきれなくてポロリと頬をつたった




それと同時にクリアになる視界





臣さんが眉を寄せて困った顔がはっきりと見えた





ふわっと臣さんの香りに包まれて
自分が今抱き寄せられた事に気付く。






「辛い時は泣いていいよ」




背中をポンポンと優しく叩かれて


お母さんと真逆な事を言う臣さんの腕の中で子供の様に泣いた。






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ユキ(プロフ) - 青空さん» 応援します😀❤ (1月23日 7時) (レス) id: 112f60438c (このIDを非表示/違反報告)
むぅ(プロフ) - 青空さん» 作者様のペースで更新楽しみにしております。 (2022年5月6日 23時) (レス) id: cb68aa1da2 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - むぅさん» コメントありがとうございます!!更新遅めですがこの後の展開お楽しみに(^^) (2022年5月6日 17時) (レス) id: a8e20d944f (このIDを非表示/違反報告)
むぅ(プロフ) - 初めまして。ストーリーを読ませて貰ってます。登坂さんとの今後の生活関係、契約期間が終わったらどうなるのか?ご実家との関係の展開も楽しみにおります(*⁰▿⁰*) (2022年4月29日 14時) (レス) id: cb68aa1da2 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - まゆさん» こちらの配慮が足りませんでしたね!お話読んでもらえて嬉しいです。今後ともよろしくお願いしますねっ‼︎ (2022年4月23日 23時) (レス) @page12 id: af434e92c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青空 | 作成日時:2022年4月23日 19時

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