契約結婚

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...



「岩ちゃん、柳瀬さんはもう会場入ってる？」



3歩ほど下がった所で私達をずっとサポートしてた岩田さんに臣さんが問いかけるとすぐに無線のような物で確認をとる岩田さん。




「この会場内にいらっしゃるようです。」




家族全員ここにいるんだと私は息をのんだ。





えげつなく広い会場をズンズン進んだ




会いたくない、行きたくない



そんな思いとは裏腹に足は進むばかり





「Aっ！久しぶりだな会いたかったよ」




久しぶりに聞いた父の声と同時に父の腕に強く優しく抱きしめられた。





何年も離れてたわけではない



むしろ生まれてから１５年間は会ったことも無かった父。



母が亡くなってからの２年間



たったの２年間だけど私が唯一、必要とした人。





私も腕を父の背中に回して軽く抱きしめた。





「ご無沙汰しております」




臣さんの声と共に自然と父と離れた。




父の隣には義母に兄と姉






正直、目を合わせるのも怖いくらい





チラッと見ると、今まで私に向けたことも無い優しい眼差しでこちらを見る義母....もちろん目の奥は笑ってない




きっと臣さんの前でのパフォーマンス





姉に至っては私に見向きもせず臣さんに釘付け




怖い思いしかなかった兄の顔はどうしても見れなかった。




臣さんは家族一人一人に挨拶を終わらせていた。





「たまには帰っておいで、ご飯でも食べに行こう」


父が私に優しく言ってコクリと頷いた時




ぐいっと引っ張られた腕



『っつ！！』



すごく強く掴まれて痛いとびっくりが同時に来る






「目くらい合わせろよ」






触れられたく無い、話したくも無い兄に思い切り腕を引き寄せられて耳元でそう呟かれた。




怖い...




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