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...
「岩ちゃんのそれ美味そうだね」
フォークでソーセージを指差すように言った臣さん。
「一本いります?」
「いや、要らない」
「要らないんっかい!」
その会話で笑う私たち...
「懐かしいですね、この感じ」
少し寂しげな顔を見せた岩田さんの発言に
笑いまくってた臣さんが急に静かになる。
「もういいって、その話は...」
そう答えた臣さんの表情はとても苦しげだった。
「Aの前でやめろっていってんじゃん。岩ちゃんに彼女出来て、その子に元カノの話をされたらどう?嫌じゃない?」
「だから言ってるじゃないですか、本当に臣さんもAちゃんも想い合っていたら、こんな事言わないって...俺に隠し事しないでくださいよ。何かあったら2人を守れないですよ?」
「...だから隠し事なんてないから。わざわざ好きでもない子と結婚までしねぇーよ」
大嘘を付く臣さんに、やっぱりまだ納得してない岩田さん。
こんな悲しい顔をする臣さんを見た事がない...
「あんなに引きずってたのに...あんなに小雪さんを愛してたのに...そう簡単に...「岩ちゃん、本気でキレそう。マジでこれ以上やめて。」
岩田さんの話を遮って振り絞るようにして出した声はすごく辛そうだった。
きっと今もずっとその人の事を思ってるんだろう...
小雪さん...
臣さんにどれだけ愛されたのか...今もこんなに愛されてるのに...
こんな悲しい臣さんを目の前に不謹慎かもしれないけど
私は小雪さんが羨ましく思えた。
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作者名:青空 | 作成日時:2024年3月26日 1時