It's difficult for me to …. 【IdentityⅤ】 (ページ16)

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それからヴィスは、どんどん成長していった。

ちゃんと喋れるようになったし、教えたことの飲み込みが早く、人並みに文字を書けるようになった。

そして、ダイアーさんの部屋から出て、走るようになったし、走っているときに私を「兄!」と呼んで笑ったりと、感情を表に出すのがうまくなった。

荘園の仲間に見つかったときはどうなることかと思ったけれど、みんな受け入れてくれた。

それも、彼女は自分から彼らのことを信じたからだと思う。

…でも、私の大切な妹は、この場にいるべき人間じゃなかったみたいだ。

ある冬のことだった。そうだね、彼女を見つけた日も、こんな枯れた季節だった。

早く春にならないかな、って窓辺で彼女と駄弁っていた。

突然、隣がフッ、と寒くなって、嫌な予感がした。

彼女は、ヴィスは……、ドシャ、という音とともに地面に叩きつけられていた。

声が出なかった。首を締められたみたいに喉が狭くなって、息ができなくなった。

震える足で、階段を一歩ずつ降りて、さっきまで彼女と話していた窓辺の真下に行く。

……信じたくなかった。