It's difficult for me to …. 【IdentityⅤ】 (ページ14)

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「…彼女が……?」

耳を疑った。私に会いたいと、はっきり言ったそうだ。それも、泣きながら。

私は『知る』という意味の外国語を調べていた。だから、彼女のもとへ行くことができなかった。

正直、凄く嬉しくて。考えた名前で、彼女を笑顔にできたら、って。

一刻も早く彼女に名前をつけたくて、廊下を全速力で走った。

ライリーさんとピアソンさんが毒づきあう間を駆け抜けてダイアーさんの部屋の扉を開ける。

彼女の瞳から、締めが甘かった蛇口の水のように涙が溢れているのが見えた。

体が勝手に動いて彼女を抱きしめると、私の口も誰かに乗っ取られたように大きく動いた。

「君の、名前を決めていたんだ。君のことを知りたい。君にいろんなことを知ってほしい!だから…」

ドイツ語で、『知る』という意味の、

「Wissen(ヴィッセン)、略してヴィスでどうかなっ?」

彼女が抱きしめ返してくれたのがわかった。