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tell ページ13
伝えることは私にとって難しい。
名前を聞かれた日、その日はもう目隠しをした男がここに来ることはなかった。
…飽きられてしまったのだろう。いつものことだ。何も悲しくなんてない。
それなのに、目から水がぽろぽろと出てきてしまって。止まってくれない。
泣いたら怒られる。泣いたら怒鳴られる。泣いたら殴られる。泣いたら、泣いたら、
捨てられる。
やだ。もうやだよ。だからお願い、止まってほしい。
そのとき、部屋の扉が開いて、
心配してくれる女が入ってきた。その女は私を見るなりぎょっとしてすぐに駆け寄ってきた。
「大丈夫。大丈夫よ。」
布団に包まった私に、あの男がかけてくれた言葉と同じだった。
『大丈夫だよ』
「…ぁ、の」
「あの、男、に…会いたぃ。」
…なぜなら、話すと暴力を振るわれることを教えられたからだ。
でも、『大丈夫』だって、あの男が教えてくれたから。
今は、伝えることは私にとって、難しくない。
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たまごさん(プロフ) - love、3行目は戯言ではありません (2020年3月21日 3時) (
レス) id: e187441fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまごさん | 作成日時：2020年3月21日 1時
