secret xxx.... 04 (ページ36)

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その声が静かな1階に響くと、それと同時に両者が動き出す。

幹部だけじゃない。

下っぱの人たちも一斉に動き出して
1階は"龍雅"と"鷹牙"で溢れかえっている。

　

ゴンッ………

　

ドスッ………

殴り合う音と共に床には時々、赤い痕がつく。

白いキャンパスに絵の具が付くように、赤い痕が残る。

でも絵の具とは違う。

絵の具のように、綺麗な模様を描く訳ではない
ただ無造作に散らされた赤い痕。

誰もが持っているその赤が床に付く度
その光景から目を反らしたくなる。

反らさないって決めたのに………
その決心をも揺らがす光景。

白っぽい灰色をした冷たいキャンパスに赤い痕が付いたかと思えば
そこに人が倒れこむ。

見たことのないその光景を目の当たりにすると
息をするのも忘れそうになる。

　

アタシノセイ。

　

その言葉が頭の中を巡って………離れようとしてくれない。

　

｢最初からこうなるって決まってたんだ｣

そう言った宏兄の方を向く。

｢こう………なる？｣

決まってた？

｢この世界………暴走族の世界に身を置くってことは
　多かれ少なかれ殴り、殴られるってこと｣

｢………｣

｢だから自分のせいとか、んなことお前が気にすんな。
　(人1)が責任感じることじゃねーよ？
　あいつらは………"龍雅"も"鷹牙"も
　無意味に喧嘩してるわけじゃない。
　大切なものを守りたくて戦ってんだ｣

｢大切なもの？｣

そのあたしの質問に宏兄は何も言わず頷く。

｢大切なものって何？｣

殴り、殴られ………そんな辛い思いをしてまで守る
みんなにとっての大切なものって………。

｢(人1)が大切に思ってるものと一緒だよ。
　仲間とか家族とか………愛しい人とか｣

愛しい人………。

でも涼介にとっての愛しい人って麻美さんでしょ？

なのに、じゃあなんで戦うの？

あたしは涼介の仲間になれてるの？

なんでわざわざ愛しく思ってる………
愛してる人よりあたしを助けてくれるの？

涼介………分かんないよ。