気付いてて愛及屋鳥【的場静司】

Episode47 ページ7

「……会わないと、辞められない、ってことですか？」


「ああ。つか、お前の方がオレより長いだろ。知らないのか？」


「はい……辞めたいとは思ってなかったので、今までは」




辞めるために一度一門へ戻らないといけないけど、何だかAは行きたくなさそうだ。


的場に会いたくねぇとか？まぁ、オレも出来れば的場には会いたくねぇしな。




「とりあえず、辞めるなら辞めるではっきりさせた方が良いんじゃねぇの？仮にも、長い間ずっと入ってたんだろ？中途半端なままでいると、あっちも困るだろ」


「そう、ですよね……やっぱり」



「正確な日まだ分かんなくても、いつ頃行くかだけ今決められるんなら、オレが伝言しとくけど？」



「……すみません。まだ分からないので、落ち着いたら行きます、って言ってもらえませんか？」


「ああ……」




Aの表情が暗い。こういう時、軽く笑い飛ばすべきでもないし、何か気が利く言葉も思いつかねぇし。




「まぁ、元気にやれよ。オレとしては戻ってきてもらいたかったけどさ、辞めるんなら仕方ねぇ事だし」


「……何で、戻ってきた方が良かったんですか？」


「や、それはさ、」



オレは苦笑混じりに続けた。



「Aが来なくなってから、的場が何か苛ついてて怖ぇんだよ。そこら辺よく分かんねぇけど、的場も、Aに戻ってきてほしいんじゃねぇの」



「……っ、考えすぎです。あの人、私の事嫌ってますよ」



「そうか？」



「そうです」



「ま、とりあえず、落ち着いたら行くってことだけ言っとくから。じゃあな」


「はい」




オレはAと別れ、屋敷へと戻って行く。



悪い子じゃないけど、相変わらずAは掴み所がない子だと思った。








「あ。やべ、オレ何も狩ってねぇ」




******

Episode48→←Episode46

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す