Episode46 ページ6
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--SIDE CHANGE--
「……ったく、オレの持ち場、大した奴いねぇんだよな」
その近辺から感じる小物の弱い気配。狩りっつっても、小物じゃあなぁ……。
はぁ、とため息を吐いて、オレは地面に置いておいた弓矢を拾い、更に森の奥深くへ入って行った。
「的場一門に入ったのが悪かったかな、何か野蛮な事ばっかさせられるしさ……」
オレ以外に誰も周りにいないのを良い事に、ぶつぶつと愚痴を呟く。
「つか、一門抜けて、頭首の的場を敵に回したらヤバそうなんだよなぁ。同じ年だけど、的場怖ぇし」
そのまま森を突き進んで行った。
……大分遠くまで来たな。ここら辺は屋敷からかなり遠い場所だし、サボるのには丁度良いか。
そう思っていたら、近くから女の子の声が聞こえた。
「キミ、毛皮で覆われてるからあったかそうだよねぇ」
「ぎゃっ!私のプリティーな尻尾を無断で触るな!」
「えーモフモフしたいのに!ね、いいでしょ?」
「くっ、くすぐったっ…!!や、やめろー!!」
声のする方へ近づいてみると、女の子がうさぎの妖と戯れている後ろ姿が見えた。
……真田Aの後ろ姿に似てるけど気のせいか。あんなに明るく喋る子じゃないしなぁ。
ここら辺にあまりいると、一門の人に見つかるかもしれないし、一応声かけるか?
「おい、キミー」
オレが背後から声をかけると、その女の子は驚いたのかビクッと肩を震わせた。
「あ、悪い。驚かせるつもりはなかったんだ」
その子は恐る恐るこっちを振り向いた。
「!」
「A!?」
「!そ、そちらこそ、な、何で、いるんですか?」
「こ、こっちのセリフだろ!!てか、お前、あんなよく喋る奴だったのか!?いやそれはどうでもいいわ、そうじゃなくて、」
「一門の屋敷から大分離れてますよね?何で、ここに?」
「仕事だよ!!オレはサボるために遠くまで来たんだっての!Aこそ、何で急に来なくなったんだよ?」
「……」
オレが理由を聞くと、Aは急に黙り込んでしまった。
言いたくない、とか?
「……っあー。とりあえず、また戻ってくるんだよな?」
「……戻りませんけど」
「まさか、もう正式に辞めてたり?」
「えっ、正式って?」
「は?やめるって的場に言ったんじゃなかったのかよ。話通さねぇと契約切れねぇだろ?」
「あ……」
忘れてた、とAの顔に書いてある。コイツ、馬鹿なのか?
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ゆり(プロフ) - うたプリ大好き?さん» また更新再開しようと思っておりますのでまた見てくださったら嬉しいです (2021年1月18日 1時) (レス) id: 89235cacbd (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 碧月さん» ありがとうございます、返信遅れてしまい申し訳ありません! (2021年1月18日 1時) (レス) id: 89235cacbd (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2020年10月21日 10時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
碧月 - 的場さんとの見ていて、もどかしくなる関係が好きです。 これからも応援しています!! (2020年3月8日 17時) (レス) id: aa55e63ed8 (このIDを非表示/違反報告)
RS(プロフ) - うさまるさん» ありがとうございます!また更新を再開しようと思うので、少しずつですが、待っていただけたら嬉しいです!!頑張ります笑 (2019年2月17日 16時) (レス) id: 3de94a1f42 (このIDを非表示/違反報告)
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