【歌い手】吸血鬼vs人間

第37話 ページ40

そらる Side


「まーしぃ！！」


うらたぬきは志麻の怪我に気が付くと、真っ先に志麻に駆け寄った。

流石リーダーだな、と感じた。


「大丈夫か？」

「あぁ、何とか……」

「とりあえず、治療室へ行こう」

「でも、nqrseが……」

「nqrseは大丈夫だから、うらたぬきは志麻を優先してくれ」


灯油がうらたぬきに促すと、うらたぬきは「……頼む」と言って、志麻と共に食堂を出た。

そして、次々と治療室へと人を運ぶ。


坂田は「会議室に行って救援呼んでくる！！」と言って、会議室へと先に向かった。


……きっと、本当は坂田はうらたぬきに着いていきたかったのだろう。

しかし、着いていかなかったのは、恐らくもう一人の仲間を心配していたからだ。

それに、うらたぬきなら志麻を導けるという信頼があったのもある筈だ。


……流石、浦島坂田船。絆が深い。


俺も、まふまふやAを……。


そんな事を思いながら、俺は多くの人たちを運んでいく。


「なぁ灯油、さっきnqrseは大丈夫と言っていたが、何が大丈夫なんだ？」


走りながら問いかけると、灯油も走りながらニヤリと笑って答えた。



「あぁ、彼奴がnqrseの所に向かったからですよ」

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