アイドル ページ17
映画が始まって数分、もう心臓がやばい、なんていうかこう、やばい。
これは夢にでる確実にでる。隣の将樹くんは食い入るようにスクリーンを見ている。
もういっその事その手を握ってしまいたい、そしたらきっとドキドキして少しは恐怖も紛れると思うから。
だけど、そんなお願い出来る訳もなく映画もだんだん空気が怪しくなる。どうしよう、もう無理かもしれない。恐怖のあまり涙が目に溜まるのが分かる。こんな所で泣いたら引かれるに決まってる。せめて画面を見ないようにと、下を向いて耐えようとした時
「涼介さん、大丈夫ですか?」
俺にだけ聞こえるくらいの声で呼ばれてその温かい声に急に安心した気持ちになって涙が一気に流れてきた。
「ま、、っ、ま、さきくん、っ」
「出ますか?」
「い、や、、ぅっ、でない、、」
将樹くんの大きくて温かい手が涙を拭ってくれて、少し落ち着きを取り戻す。
「無理しなくていいですよ、出ましょう」
「やだって、、ぐすっ」
「でも、、」
泣きながら出ないという俺に将樹くんも困った顔をする。でも出ないったら出ない。だって将樹くんがずっと楽しみにしてた映画なのに俺のせいで台無しにしたくない。既に台無しにしてるかもしれないけど。
「将樹くん、、手、握っててもいい??」
「そんなんでいいんですか??」
俺のお願いに将樹くんはどうぞと手を差し出してくれる。俺はその手に自分の手を重ねて控えめに握ると当たり前のように将樹くんは指と指を絡めて要は恋人繋ぎになった。俺が落ち着いたのを見ると再び映画に意識を戻す将樹くん。
それからは、俺が恐怖のあまり握っている手に力を入れると、将樹くんも握り返してきてくれたりして、いつもよりは冷静に見れたと思う。まあ、いつもは見ないけど。そんなことをしているといつの間にか映画は終わっていた。
「将樹くん、ほんとごめん。俺、、」
「え??、あ、大丈夫ですよ。俺も早めに言わなくてすみません。」
「ち、ちがう、将樹くんのせいじゃないよ。だって俺、初めに言われてても行くって言ってたと思う、将樹くんと映画見たかったから。」
あれ、俺は何を口走っているんだろう。ただ、彼に罪悪感を感じて欲しくなかっただけなのに。
「あんま、可愛いこと言わないでください。」
その言葉と同時に頭をぽんぽんされる。急な行動に驚いて顔を上げると彼の顔は赤くなっていた。
ねえ、そんな顔されたら期待したくなっちゃうじゃん。
146人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
MARE - ハマりました。更新楽しみにしてます(o^^o) (2019年6月6日 21時) (レス) id: eecfed04fa (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - え?もう最高です!大変だとは思いますが更新待ってます! (2019年3月23日 1時) (レス) id: 596335d428 (このIDを非表示/違反報告)
りりとと(プロフ) - えいみーさん» ありがとうございます(><)!! (2019年3月12日 4時) (レス) id: 5872ca6fcb (このIDを非表示/違反報告)
えいみー(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!焦れったいの好きですよ!笑 (2019年3月11日 7時) (レス) id: ea7c2968f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りりとと | 作成日時:2019年1月24日 0時