恋だけできればいいです。【短編集】 (ページ7)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:10,806 hit

午後の戯れ1【真昼→夢=椿】ページ7

平和な日の昼下がり。

普通の高校生とそのペットである普通ではない猫は買い物にきていた。

「今日と明日...どうするかな。なぁクロお前はなにがいい？」
「めんどくせぇ...俺はカップラーメンでいい」
「だからだめだっていってんだろ！ちゃんと栄養とらないからそんなに」
「はいはいわかってるよ。主婦か、お母さんか、お前は」
「どっちでもねー！！」

まるで夫婦漫才のようなことをしている二人に迫る怪しい影。

「あっー！まひまひと怠惰の猫ちゃんじゃーん！ひっさしぶり！元気ぃ？」
「げっA？！なんでこんなところに！！」
「死ぬほどめんどくせぇ...にゃー.....」

とてつもなく高いテンションで話しかけてきた少女は、憂鬱の真祖の下位吸血鬼のA。それに驚く夫婦漫才の婦と、めんどくささのあまり猫に変身する夫。

「なんでって、それはこっちの台詞だしねぇ。よくくるの？」
「い、いや、たまたま」
「え～ざんねーん。だったら次はみーんなよんで待ち伏せしてやろーと思ったのにぃ」
「ほんと嫌な奴だな」
「ありがと」

陽気に答えるAに警戒しながらもどこか変に緊張してしまう真昼。少女はそんなの無視に話を続ける

「あー！今日お家泊めてくれない？ちょーっとさっきからさくやちゃんのご機嫌悪くってさー！」

手をパンっと音をたてて合わせる彼女に呆れることしかできない。

「おま、また桜哉になにかしたんだろ！！」
「さぁ？」
「てか！泊めねぇから！！いくら吸血鬼でもお前女だろ！？そういうのは」
「なにぃ？私となにかあると思ってんの？」

急にずいっと寄ってきて顔を側まで近づけるAに変な声がでてしまう真昼。

「な、なわけねぇーだろ！！」
「あはは！！いいねぇそういうの好きだよ。でも私には椿さんがいるからごめんね」

とんっと離れて、語尾にハートが付きそうなほど艶っぽい声で答えた。
その言葉にどこか苦しくなる彼を彼女は知らない。

「だからいーでしょ？１日だけ！そうじゃなきゃ私何気に知り合いいないからさー、あのマッドサイエンティストにすっごい物理的な意味で体売るはめになるんだよね...」
「...そこは同情するし、前もそうなったことあるのか？！てか金は！」
「おいてきちゃった」
「お前馬鹿だろ」
「ご名答」