恋だけできればいいです。【短編集】 (ページ6)

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永遠の少女の願い2【御園】ページ6

『うっ、うぅ、みその、うう』

その時だった。

『Aー！！』

少女の大好きな人の声が、暗い中から聞こえてきた。

『...みその？』

暗闇にいたのはやはり御園本人だった。普段走らないからか、息があがっている。

『はぁ...はぁ...馬鹿かお前は！！』
『ごめんなさい...』
『まったく。怪我でもしたらどうするんだ！！』
『ごめんなさい...わたしのこときらいになった？みそのはおおきくなったから、ちいさいわたしはもうきらい？』

しゃがんだ御園に手を握られて、しゃくりあげながら答えた少女に御園が声をあげた。

『そんなわけなかろう！』

びくりとした少女に慌てて次の言葉を探す。

『貴様はずっと僕と一緒にいたんだ。これからもそうでないと僕が...』
『.....みその？どうしたの？』
『いや！だからだな！！！』

顔を背けてどもる御園の行動を少女は理解できない。

(一緒にいたい？でも、きらいなの？)

『御園ー！Aー！』
『あっりりい...』

かけあしで近づいてきた真祖の現在の名前をよぶ少女。

『探しましたよ。御園がAがいないなんて言い出して突然飛び出すものですから』
『なっ！リリイ！そういうことは言わなくていい！！』
『おっと』
『とにかく！ほら、もう帰るぞ』

立ち上がり、手を繋ぐよう促されるような仕草に「うん」と呟いて小さな手で、普通よりは小さいかもしれないけれど、少女にとっては大きな手を握る。

『ごめんなさいみその。』
『...反省したか』
『うん。あのね、みそのがむかえにきてくれて嬉しかった。』
『そうか...でももうこんなことしないでくれよ』
『はい。』

小さな手にぎゅっと力をこめると御園も握り返してくれた。

姉弟みたいだった人が兄妹みたいにかわるとき、大好きで愛しいものにもなっていたことに気づいた少女は、叶わぬ恋だと気づかぬうちに諦めていた。

ずっと恋い焦がれた人が自分と同じように成長することがないと知った少年は、少女が恋などするはずがないと気持ちを閉じ込め続けていた。

誰よりも愛しい貴方を愛すことはできないけれど、せめて一緒にいたかった。

そして少女は、真祖や主人とともに行動できるほどの力を持っていたことに気づいた。それからは、ずっと彼の一番でいたいと張り切って彼と戦うようになった。

「みその！わたしこんなに強くなった！」

「もうみそのをまもれるよ！」

「だから、だからわたしをおいていかないで」

永遠の命をもった少女の願いは、少年に届くことができたのだろうか