恋だけできればいいです。【短編集】 (ページ3)

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天使の話1【ロウレス＞リヒト】ページ3

「リヒたんまじ天使ー！」
「この世に舞い降りた最後の天使ちゃん！！」
「うるせぇ死ね悪魔ども！！！」

どうも！強欲の真祖ロウレスちゃんっす！！

今は下位吸血鬼のAと一緒に、現在の主人であるリヒトに深く蹴りを入れられたとこっす！！

女の子でも容赦なく蹴っちゃうリヒたんマジクール.....

「もぉーリヒたん痛いっすよぉ！」
「そーだよ天使ちゃん！かよわぁい私の真祖様が死んじゃうよ」
「死ねつってんだよ悪魔が」
「か弱くないっすよ！死なねっすよ！！べー！！！」

Aは見た目によらずタフなところがあって、リヒたんの蹴りも割りと普通に受け流す。戦闘向きではないものの、それに耐えられるのはなかなかだと思う。

「あー！べーだってよ天使ちゃん！！やっちゃってよー！！」
「引っつくんじゃねぇ離れろお前がやれ」
「やだ～天使ちゃんおねがーいってきゃー蹴らないでー」

蹴り飛ばされた後にも関わらずリヒトの腕に抱きついて、
オレなら触っただけで即蹴りなのに！そういうところはひいきっすね！！！

棒読みになり手をあげながらゆっくりと離れる姿はもう見慣れたものだ。

「悪魔ども俺は先に行くから後からついてこい。いいな、俺の視界に少しでも入れば殺す」
「はーい」「りょーかいっす」

「ほんっっとAは主人になつくっすよねぇ」
「主人の主人に媚うって悪いことでもある？それに、今回の主人ちゃん特におもしろいし」
「それは言えてるっすけど。まぁ真祖としてはぁ？主人がコロコロかわることになぁんも文句言わない下位はありがたいっすよ」
「うえーきもちわるぅ」
「ぶん殴るっすよ？」

「うひー許してー」なんて冗談っぽく言ってふわりと笑う。憎たらしいこの表情を見るたびにかつての思い出が甦る。

「ねーロウレスちゃん」

頭の後ろで腕を組むA。
先程考えていたことがわからないようなるべくいつもの調子で返す。

「なんすかー」
「天使ちゃんって好きな人とかできたことあんのかなー」
「ﾌﾞﾌｯｰ!!!!」
「げーきたねえー」
「ローテンションで言わないでほしっす。誰のせいだと思ってんすか」
「天使ちゃん」
「Aっすよ」

思わずつっ込まずにはいられない。勘弁してほしいっす。
それよりリヒたんの好きな人の話とか...頭イカれちゃったんすかね

「あーんな奴が好きになるやつなんていると思うっすか？いてもどっかの神話の大天使っすよ」
「ふーん...そっか.....」

どこか微笑ましい彼女に気づきたくもなかった。