ワンカップにカカオを敷き詰めて (ページ19)

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最近、占い師のイライとピアニストのAが良く一緒にいるのを見る。

それは他のサバイバーやハンターの中でも結構話題になっている事で、「付き合ってるのではないか」と言う噂も一時期は独り歩きしていたけれど真実を知るのは彼らだけ。

何故かと言うと、Aは実に近寄り難い人物だからだ。

一切無駄のない滑らかな肌に、よく映える綺麗な紅色。しなやかな手足、全てが綺麗で何かの美術品のような彼女。見た目だけでも十分に簡単に近寄るには少し自分が烏滸がましく感じてしまうようなものなのに、それに加え取ってつけたような浮いた性格を持っている。

彼女と会話をするのは難しくて、悪気は無いとわかっていても彼女の口から飛び出る素直な感想は堪える。

だから、彼女となんとか普通に会話をしても
彼と付き合っているのか？なんて野暮なことを尋ねられる人はいなかった。

じゃあイライに聞けばいいじゃん、と簡単に思ってみても彼は勿論隙はあるけれど上記の通り Aと一緒に居ることが多い。

まあ、殆どAが原因で彼らに直接尋ねることは出来なかった。

Aは決して悪い奴じゃない。良い人物なのだけれど、悪くは無いのだけれどそれを知っていても彼女と単純に付き合うのは難しい。

だから彼らが付き合ってるのかどうかはもう彼らと神のみぞ知る……と思っていたが、なんと本日ようやく彼らの関係を知ることが出来た！
いや、知ることが出来たというか凡そ把握したという感じではあるが。

「そう言えば君達は最近仲良くしてるし似てきたんじゃないか」

そう言った途端、ぴくりと震える彼の肩。
じわりと頬を赤く染めて、唇を小さく噛むのが見えた。
ああ、聞く以外にもこんな方法があったんだ。
こんなにもわかりやすく彼は答えを教えてくれたじゃないか。

「なあ、イライって」
彼の反応からして彼女へどんな想いを抱いているかは明白だ。
だから彼に彼女をどう思っているのかを尋ねようとした時ふらりと現れたのは噂をすれば、

「クラーク君、フランク」
Aだった。

ひらりと髪の毛を揺らして、ゆるりと微笑んでみせる彼女にやっぱり胸が騒いだ。
こんな綺麗な女性が近くにいれば誰だってハラハラするだろう。

そんな彼女はゆるゆると微笑んだ後、ぱっとイライを見る。僕もそれに釣られるようにしてイライを見て思わず目を丸くした。

親に怒られて怯える子供のように、彼女から少し体を背けるようにして肩を竦めていた。