16口目 ページ16
「じゃあまた明日、朝ごはん一緒に食べよ」
リビングを出た扉の前、ハンターとサバイバーは部屋の方面真逆だし ここですぐお別れ。
「わかった、おやすみ」
柔らかく笑ったナワーブくんが私に手を振る。
「うん、おやすみい」
私も笑って手を振って見せれば、彼はゆっくり廊下の向こうへと歩いてったので私も素早く部屋の方へ足を進めた。
いや、優しすぎてちょっと期待したじゃんか。
幼い頃の約束とか忘れてるだろうしそもそも両思いだった訳でもないし、迷惑だったかもしんないし
ナワーブくんが今私の事好きとか確定してるわけじゃないし寧ろ今まで忘れてたかもだし。
でも、ご飯準備してくれたりとか、待っててくれたりとか、あと俯いてた私の袖引いてくれたしいてさ
話聞いてもらえるかも、とか
ドンマイとか頑張れとか一言でも貰えるかなって…
再開して一日だよ、私。
期待なんかしたから ほら、また余計に傷付いた。
早歩きしてた足を止めて、廊下にしゃがみ込んだ。
「……いたい、」
声に出た誰もそこにはいないから大丈夫。
胸が痛い、張り裂けそう。痛い、嫌なこと思い出した時も辛かったけど、余計に期待したから痛いよ。
ナワーブくんが期待を裏切ったんじゃなくて、勝手に私が余計な期待したんだ。
ハンターも辛いけど、恋も辛い。なんで引きずっちゃったんだろこの想い。人参のことなんか忘れちゃえばよかった。ううん、違う。ナワーブくんに期待しすぎるんじゃなかった。
彼とは友達が1番だったんじゃないか、
寝れば、なんとかなるか。
私って能天気だし起きたら案外気が楽になってるかも。
いや、そうに違いない。
じゃあ部屋に急ごう、
その場にちゃんと立って 足を一歩進めた
けど、止まった。
疲れたとか力入んないとかそんなんじゃない。
いや、気絶したのかもしれない。それで都合のいい夢見てるんだと思う、だって 手首が何かに掴まれてる。
それでもって、振り向いた先にさっき別れたはずの君がいるのは なんで?
電気がぼんやりと私と彼を照らしてる。
ちょっと暗いのとフードのせいで表情がよく見えない。どんな顔してるのかわかんないけど、
わからないけど、でも
「なんでいるの」
うれしいよ。
今呆気に取られてちょっと転けかけたんだけど、それがなければ本当に飛びついてた。
王子様なのか、欲しい時に来てくれるって神様なのか、ヒーローなのか。
ほんと、好きだ
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作者名:鯖原 | 作成日時:2019年1月24日 2時