ケース29:狂眼の見解 ページ29
彼女は私の悪戯の最高の好敵手だ。
Aと言う少女は人形のように表情を変えない。
いつも笑顔、常に笑顔 笑顔以外ありえない。
私は悪戯が好きだ、荘園のリフォームをした時も
悪戯心を込めて沢山の仕掛けを施した。
それで驚いた顔をするサバイバーやハンターを見てると、とても愉快だ。その楽しみの為、私は今日も電動ドライバーを持つ手が止まらない。
しかし、毎度毎度悪戯を仕掛けているせいで屋敷の奴ら共は反応が薄くなってきやがった！
どうすればいいのか考えているところに現れたのは使用人、A。
そういえばあの女は驚いた顔を見せることがあまり無かった。驚いたとしても直ぐに笑顔を取り繕うので、反応としては面白くない。
じゃあこうしよう、Aを驚かせる事にしよう。
今驚きにくくなったサバイバーやハンター共を驚かせる為の大掛かりな仕掛けを考えるより、そっちの方がよっぽど面白いに決まっている！
そうと決まれば早速行動開始。
過去に使った物をリフォームしたり、屋敷の壁に穴を開けたり工夫してAを驚かせる事に時間を費やした。
けれど、
「使用人！」
「…こんにちは、狂眼様」
何度やっても
「使用人！」
「…、こんばんは、狂眼様」
此奴は
「狂眼様、足が見えていますよ。」
驚きの表情を見せない。
そればかりか最近は肩をピクリともさせなくなった。
つまらない。実に、つまらない。
Aでトラップの実験をするのは間違いだっただろうか。そう思いながら次に仕掛けたのは不意をつくトラップ。
ぶっちゃけると毎度毎度不意をついているつもりではあったがAは使用人だ。確実に一人になれる場所、部屋じゃないと落ち着くわけがない！という事を考慮して私は女性の部屋に突っ込むという禁忌を、何も考えずに決行した。
「使用人！」
「っわ！」
壁がひらいて、その先に居たのは普段の動きにくそうな衣服ではなく ラフな姿のA。目はまんまるに開いてこちらに釘付け、口も開きっぱなしだ。
その反応が示すのは、どう考えても成功だ。
Aは悔しそうにしつつもまた笑顔を貼り直していたが、やはりAも驚く時は驚く。
彼女が驚いているのを見るのが、堪らなく可笑しい。
部屋に仕掛けは絶対にやめて欲しいと言われたので条件は厳しくなるが、私はこれからもAにトラップや悪戯を仕掛け続ける。
やはり、Aは面白い。
私はAの正直さが 好きだ。
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作者名：鯖原 | 作成日時：2019年1月19日 18時
