全肯定女子いいよ!ちゃん (ページ21)

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ケース21:断罪狩人の見解ページ21

Aのことは、今唯一心優しい人間なのだと信じている。

荘園の敷地内には、森がある。
勿論動物も存在していて、大きな生き物はそうそういないが小鳥は良く木にとまって囀っている。

小鳥達基本的に溜まっている場所があって、俺はよくそこに餌を撒きに行っていた。

今日もそうだった。
森の中は暗い、木から時々差し込む光は埃か花粉かよくわからないものを照らしてチカチカと輝いている。
自分の体重もあり、歩けば少しドシドシと音が鳴る。
草が擦れる音がして、落ちた木の枝が折れる音がした。

そろそろ昼時だ、鳥も沢山集まっているだろう

そう思ってたどり着いた先、そこに居た人物に息を止めた

森の切り株の上、細い女が座っていて
光に照らされながら指先に乗る鳥を見ている。
肩にも別の種類の鳥が乗っていてそこで日向ぼっこでもするように膨らんでいた。
動かないようにしているのか、小さく呼吸をして
煌めく瞳で鳥を眺めるその姿が美しかった。

細く白い指をとまり木代わりにする鳥が、
酷く嬉しそうに囀ったので餌を入れていた白い袋を落としてしまった。

「あ」

驚いたのか小鳥は逃げ出す。
そこに居た女も俺を見て、少し目を丸くしたあとゆっくりと頬を緩めた。
「こんにちは、断罪狩人様」

綺麗だった。
笑顔も、仕草も、そのどことなく儚げな姿が泡沫のようにぱっと消えてしまいそうな寂しそうな笑顔が
美しいと思った。

「すまない、」

「…？」

「大きな音をたてたせいで小鳥が、逃げてしまった」

Aという人物を、人形だとかなんでも言うことを聞くだとかあまりいい話を聞かなかったせいで
随分と変わったおかしな人間だと勝手に思い込んでいた。

「いいえ、お気になさらず。」

そう言って、また
彼女は優しく笑った

彼女はゴミ出しに門の近くまで行ったらしいのだが、偶然見つけたこの場所で座っていたら、鳥が寄ってきて動くに動けなかったらしい。

光の注ぐ小鳥の広場、切り株の椅子に暖かな午後。
素敵な場面に遭遇してしまって、少しはしゃいでしまったのだと恥ずかしそうにAは肩を竦めた。

鳥は、心を見透かすんだ。だから、彼女はきっとその容姿に見合う美しい心を持っているに違いない。
彼女は優しい人間なのだ。

小鳥がそう鳴くのだから、間違いはないだろう。