ケース14:祭司の見解 ページ14
彼女の事をああだこうだあれこれ言う人はいるけれど、私は彼女は似た者同士だと思ってる所があるの。
外見とかじゃないわよ、そんなの一目見たらわかるし。
Aはとても優れてる。
荘園に初めて来た日からずっと変わらず、笑顔で頼まれた事をこなして 人の話を聞いて頷いて、礼儀正しくいる。
そういうのって普通疲れてやめちゃったりすると思うの。その上、彼女は元使用人であって今はもう主人もいないのに なんでそんなに一生懸命になれるの？
そう考えた時、私が一番に浮かんだのは神様の天啓。
私は実際神がそう仰るからこの荘園に来た。その判断を間違いだとは思っていないし、後悔もしていない。
だから 彼女も神から何か言葉を受けて今も必死に働いてるんじゃないか、そう思ったのよ。
逆に、そうでなきゃどうしてそこまで働けるの って思ったしね。
思い付いたら行動、廊下で窓を磨いていたAに声をかける。
「ねえ、A。聞きたい事があるのだけれど」
「はい、祭司様。なんなりと」
手を止めて私に向き直り、雑巾を床に畳んで置くA。
「貴方は神様の導きを受けて働いてるの？」
「神様の…ですか？」
「ええ」
首を傾げるAに私は続けて言う。
「だって、不思議なのよ。もう貴方は使用人じゃないじゃない。だから掃除も人の言う事を聞くのを辞めていいのに、どうして続けてるのかなって…」
「成程、それで私が神様のお導きを受けたからこうしていると…」
「そうよ、実際どうなの？」
私の言葉にAは困った笑顔をする。
「ご期待に添えず申し訳ないのですが、私は神様の天啓は受けておりません…ただ」
そうして、少し目に影を落として 無理やり笑ったような顔をして彼女は言った。
ただ、
「大切な方、私の神様の様な方からお導きを受けたのでここでこうしています。」
形や物は違うけれど、やっぱり彼女も何かに導きを受けていたのね！そう思った私はとっても嬉しかったわ。
Aが人形でも人間でもそうじゃなくてもいい！こうやって同じ気持ちの仲間がいるって素敵。そう思った。
それと同時に、やっぱり私の天啓を受けた という言葉も間違いじゃなかった って安心した。
だって皆その言葉を訝しげに聞くけれど、Aは理解してくれる。
Aは、私の求めてる友人だわ。
ねえ、A。どうかこれからもお導きを信じていきましょうね
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作者名：鯖原 | 作成日時：2019年1月19日 18時
