ケース2:弁護士の見解 ページ2
彼女の事は最初、随分と美しい人物だと思ったけれど
今はもうそんな簡単な言葉で表現出来る人物だと思ってない。
彼女はおかしい、誰だって そう思っているはずだ。
「A、」
「はい、弁護士様。どう致しましたか？」
最初から少し可笑しいと思っていたんだ。
なんでもします！なんて自己紹介するもんじゃない。
それに、役職に様を付けるなんて可笑しいだろ。
ゲーム中、解読をしている彼女を見つけて声を掛けた。
「あっちの方向、暗号機があるんだ。ここはやるから任せてくれないか？ここと、あっちで 二つ終わればもうゲートが開くだろ。」
終盤に差し掛かっているゲームは、他の仲間2人が負傷
自分と使用人が無傷 という状態で比較的優勢であった。
そんな中こんな条件を出した僕に、普通の人なら訝しがるはずだ。
僕が握りしめた地図によると、その方向には暗号機が集中していて鬼が見回りに来やすい場所。
負傷して逃げてきたサバイバーは元はあの辺で解読していたのだから、どう考えても危険な場所にわざわざ自ら突っ込むことになる。
しかし、彼女は快く承諾する。
「ええ、わかりました。お任せ下さい！」
そう言って居なくなった彼女を他所に、解読を終わらせた僕はゲート前で待機する。
間もなくして開いたゲートに駆け込み 脱出をした。
ロビーに最後に戻ってきたのは、放置され気絶して戻ってきた彼女だ。
一応騙した様な事をした訳だし、彼女に謝ろう と謝罪を告げた時 彼女はなんて言ったと思う？
「構いませんよ。皆様が脱出したいと思っていて それを叶えるために 私の犠牲で間に合ったのならいいのです。望むのなら、いくらでも人柱を務めますよ！」
「…君は、狂っている」
「？、ええ、弁護士様がそう仰るならそうなのでしょう。」
あれは人間じゃない、人形だ と言われていた噂の通り 僕も人形だと思う。
あんな狂っているんだ。人形以外の、なんだって言うんだ？
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作者名：鯖原 | 作成日時：2019年1月19日 18時
