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名前はしらない、学年もわからない、ただ、ものすごくタイピングが早くて、よくわからないURLとかブラウザとか何個も開いてたりして、わからないところとかあったらなんでも聞ける人だってことは知ってる。


私が選んだのは情報の授業、今まで全くといって良いほどパソコンに触れてこなかった私はブラインドタッチは言わずもがな、一本一本でしかキーボードを叩けない。流石に焦った。だってこれからの仕事の事とか考えたら絶対できた方がいいに決まってるのだ。

なのでこれはいい機会だと思い選んでみたのだ。
なぜかはしらないけれどひとつ上のコネシマもいることにはとても驚いた、体育とか選びそうなのに、あとは世界史とか。そうそう、いい忘れていたが、選択授業に学年分けはされていない。その事がさらに茶色の彼の学年の不明さを加速させている。しかも私服だし、ね...彼...


初めての選択授業の際、席順は決められていなかった。ただなんとなく、前から3列目、一番窓側に座った。
そのあとにすわった紫の彼、もう紫くんと呼んでしまうか。その紫くんにいい?と聞かれてどうぞと答えれば、そこに座る。私の一本指を見てくくくと笑っていた。むっと睨み付けると、すいませんと笑いをこらえきれずに言ってきたので、恥ずかしさを隠すためにそっぽを向いた。そんな一時間目であった。


一度座ると次も同じところに、そんな現象が誰しも起きるだろう。そんなこんなで第何回目かもわからないこの選択授業。今日もまた彼の名前もなにも分からないまま、授業が進んでいく。私は、名前も年も分からない彼に、なぜか知らないけれど、寧ろ知らないからなのか、恋とも言えない探求心でドキドキしている。これを恋というにはあまりにも彼を知らなさすぎるってものだ

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作者名:にょん | 作成日時:2019年11月10日 22時

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