Beautiful 2

10 PCと、にらめっこ ページ10

音の発信源を探しあてて
ピカピカと光るスマホをタップして内容を確認する。


“業務命令 明日は台風で出勤出来ない者もいるためうちの部は休暇日とする。”


メールの送信者は部長で、いたずらメールではない事を証明するためか
会社用のPCメールから一斉送信されていた。


『明日、休みになっちゃいました…』

「良かったじゃん、もう天気気にしなくてもゆっくりできんじゃん」

『…でも、明日までに仕上げなきゃいけない仕事のこしたままだから…』

「今やっちゃえば？俺もパソコン持ってこよっかな」

シゲくんはニカっと笑って、スッと立ち上がり、玄関の方に。


玄関をあけると豪風と豪雨と、雷。

「すげぇな、これ」

苦笑いをし、ささっと自分の家の玄関を開けて風でバタンと玄関が閉まったのを
確認して、私も玄関の扉を閉めた。


ふぅーとひとつ息を深く吐いて、寝室へ行き
ノートパソコンを取り出してリビングに。

ローテーブルの上にノートパソコンを置いた。




ガチャンと、玄関が閉まる音がした。

「雨今一番強いんじゃない？」

片手にノートパソコンを持って、もう片手には、クッション。

『なんでクッション？』

「これが無きゃ執筆できないの (笑)」

『そうなんだ(笑)私も仕事しなきゃ』

「じゃ、無言タイムね。喋ったら負けね」

『え？』

「よーいスタート！」


いきなり始まった無言ゲーム。

慶ちゃんといい、シゲくんといい、ゲーム好きだな…

そんな事を思いながら、キーボードをパチパチと弾く音と雷の轟音だけが部屋の中に響く。

向かいあって、ローテーブルを挟んで、真っ暗な部屋で光るパソコンの光。

目の前には、真剣な眼差しでパチパチとタイプするシゲくんの顔。

くっきり、はっきりした顔の目は真剣そのもの。


パチ、と目が合って、見ていたのがばれるのが恥ずかしくて画面に目を移した。



ふぅーっとため息を吐くシゲくん。

ひと段落したのは、はたまた、疲れたのか。

肩をぐるぐると回して、また一つ、大きく息を吐いた。


まだまだ続く無言ゲーム。

一体いつまで続くのかと思いながら、企画書を作っていく。



いつもなら、すぐに辞めたくなる家での仕事。

でも、今日はシゲくんに見張られてる？いや、シゲくんも頑張っているから
ちゃんと仕事をしなくてはと、感化されてか、いつもより確実にやる気満々。

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