【da!】暴力メイドは今日も。 (ページ10)

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其処からの彼女の成長は目まぐるしいものだった。

先ず、一ヶ月ほどで声を出せるようになった。

そして、最初こそちぐはぐであったが、言葉を紡いだ。

次に、元々筆談で培った語彙力を発揮し、多くの言葉を使えるようになった。

それに関しては、約１週間ほど。

一ヶ月半経ったいまでは、彼女はすらすらと流暢に話している。

そして、教えて貰った御礼にと医務室で手伝いをしている。

彼女は多くの免許を持っている為、大体の仕事は行えるのだ。

最初は兵達に不審な目で見られていたものの、その内に皆友好的になった。

「頑張れ！」等、彼女目的に来る者も少なく無くなってきている。

そして、遂に今日。彼女は総統と対談を行う。

コンコンというノックの音が部屋に響く。

中からは「入れ」と言う底をつく様なバリトンボイスが聞こえる。

彼女はその言葉を受け、カチャリと扉を開けた。

「掛けてくれ」と指示された椅子に座り、会話は始まった。

『話は通っていますが、呼んだ理由をお聞きしてもよろしいでしょうか？』

瞳を総統に向け、目は逸らさない。

総統相手でもメリハリのある喋り方をする。

「勿論。今回呼んだのは君の役職についてだ。」

そんな彼女の黒い瞳を見て、総統は頬を緩めながら話す。

『私は元々敵国の従者で御座います。

どのような役職に就いても、喜んでやらせて頂きます。』

心の底からそう思っているのだが、彼女は無表情が故にそれは伝わらなかった。

「その件についてだが、情報部隊の調べによると君は戦いに強いようだな？」

未だ表情を動かさず話す彼女に面白味を覚えながら総統は問い掛けた。

『そう…だと思います。人によって観点は違いますのでわかりませんが。』

少し間を開け、自身はそう思っていない事を口にした。

それが本音なのだから、とても謙虚な方が伺える。

「では、後ほどにうちの戦闘部隊隊長五人と手合わせをしてから決めさせて貰う。」

総統は書類に目を通し、数日間仕事の殆ど無い者を総出にさせようと考えた。

『私にそこまで強い方となんて勿体無いような気もしますが。書類の方は良いのですか？』

勿体無いのは相手の体力だ。謙虚すぎるような気さえしてくる。

「ああ。しんぺい神から話は聞いている。では、後ほどに。」

部屋から出すのは名残惜しいが、総統は話を終わらせた。

『失礼致しました。』

美しい礼をした後、振り返って彼女は部屋を出た。