天使のような君 (ページ28)

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『A、こっちおいで』

「うん」

いつも通り、変わらない彼を見ていると

何かの見間違いに決まってるって、自分に言い聞かせた

ルームサービスで注文したワインを飲んだ。
最近忙しくて全くお酒を飲んでいなかったせいで酔いが回るのが早い

うん、大丈夫、さっきのはきっと見間違いだ

ベッドに寝転び、いつもみたいに彼の腕に抱かれながら目を閉じた。

スースーと彼の寝息が聞こえてきて、それにつられて私も眠りそうになったとき

また彼の携帯が鳴った

なんだか、すごく嫌な予感がする。

胸がざわついてきて、まだ完全に寝ている彼の腕から抜け出して、こっそりと彼の携帯を持ってトイレに向かった

彼の携帯のロック番号は、私の誕生日にしてくれていて、その番号は変わってなかったから、きっと何かの間違いだと思ったけど、

このモヤモヤする気持ちを晴らしたくて、メッセージを開いた。

、、、、、、、

なにこれ。

想像以上に気持ち悪いメッセージが並んでいて

吐き気がした

【〇〇ちゃん今日も可愛かったよ】
【またいつでも家きてね】
【愛してる】

彼が、他の女にこんな、、、、

気持ち悪い、、、、

そのメッセージを見ると、どう考えても、彼女に見える。

体だけの関係かもしれないけど、好きとか、愛してるとか、

目を疑いたくなるメッセージに頭が痛くなった

かなりの頻度で会っていることがわかるし、二人のツーショット写真も出てきた。

寂しさを超えて、怒りが込み上げて来る

トイレを出て、彼の携帯を、その女とのメッセージ画面を開いたまま机に置いた

自分の荷物をまとめて、一度も彼の方をみることなくホテルの部屋を出た。

時計を見ると深夜１時をすぎていた

私の家に帰れる終電なんてもうないし、暗くてよく知らない街がやけに冷たく見えた

はぁ、、ほんと、なにやってんだろ。

久しぶりのデートだってウキウキして、こんなにおしゃれして、、、1ミリも彼のこと分かってなかった。

そんな自分が情けなくて涙が出てくる

駅の前にいたタクシーに乗り、家に着いてから、もう何も考えたくなくて、携帯の電源を切った。