透明なラベンダー。４

雨とふたり ページ29

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仕事を終え、自宅へ向かっている途中にスマホが鳴る。


…目黒？


深澤「もしもし」


目黒《深澤さん、インタビュー見ました》


深澤「ああ、どうだった？あのときの俺けっこう盛れてね？(笑)」


目黒《"透明なラベンダーカラーの傘を持っている人"って、Aのことですよね》


目黒なら、気づくと思った。


深澤「…そうだよ」


目黒《どういうつもりで言ったんですか？》


深澤「俺さ、ひねくれてるから、こういう伝え方しかできねーの」


目黒《Aがこの動画を見るかどうかなんてわからないですよね》


深澤「そのときはもう、仕方ないって思うしかねーよ」


目黒《…》


深澤「動画を見たとしても、彼女の心に届かないと意味がないだろ？」


目黒《…いや、あいつはきっと、見ますよ》


深澤「え？」


目黒《そういう奴なんで》


深澤「よく知ってるな(笑)」


目黒《同期っすから》


深澤「同期には負けるかもな(笑)」


少しだけ黙ったあとで、彼が言う。


目黒《…俺、結婚します》


深澤「そうか、おめでとう」


目黒《俺は俺で、いま幸せです。だから、深澤さんも幸せになってください》


深澤「めずらしい台詞だな」


目黒《もう２回目は言いませんよ》


深澤「うん、ありがとう」


じゃあまた、と通話を切る。


Aさんの連絡先を探すも、躊躇して手が止まる。


スマホをポケットにしまおうとしたとき、鳴った。


画面には"Aさん"と表示されている。


俺はゆっくりと応答した。


深澤「…はい、もしもし」


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