透明なラベンダー。３ (ページ24)

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社内で渡辺さんとすれ違ったとき、彼が手に持っている青いハンカチが目に入る。

『あ、』

私は立ち止まり、声を出す。

渡辺「？」

『あ〜！(笑)』

渡辺「なんだよ」

『そのハンカチ、使ってくださってるんですね！(笑)』

渡辺「まあな、あんまりハンカチ持ってねーし」

使うかどうかは考えるだなんて言ってたけど、ちゃんと使ってくれてるんだ。

渡辺さん、けっこう素直なところもあるんだよなぁ。

私が満面の笑みで彼を見ていると、渡辺さんが言う。

渡辺「なんだその顔は」

『嬉しいな〜って(笑)』

渡辺「相変わらず変なやつ」

『渡辺さんも私とどっこいどっこいですよ』

渡辺「どこがだよ」

私は、うーんと考える。

『いろいろ？』

渡辺「意味わかんねえ」

彼はそう言って歩き出す。

『待ってくださいよ〜』

渡辺「ついてくんな」

『ついてくるなも何も、私も同じオフィスなので方向が一緒なだけです』

彼は振り向き、はぁ、とため息をついてまた歩き出す。

『なんでため息ついたんですか』

渡辺「心配して損した」

『心配？』

首を傾げるも、彼は答えない。

渡辺「…なんでもねーよ」

『教えてくださいよ』

渡辺「教えねー」

『え〜』

渡辺「いいから仕事戻れ」

『はーい』

私はよくわからないまま、デスクに戻った。

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