透明なラベンダー。３ (ページ23)

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阿部「確かに、言いました」

『だから、私にはなんでも──────────』

彼は私に距離を詰める。

阿部「よく知らない人のままなんて嫌です」

『阿部さん…？』

阿部「僕は、Aさんに僕のことを知ってほしい」

『え…』

阿部「そして僕も、Aさんのことをもっと知りたい」

それって…

阿部「わ、いきなり何言ってんだろう、えっと…すみません…；」

彼はハッと我に返ったように、恥ずかしがりながら頭を下げる。

『あ、いえ…；』

私もなぜか恥ずかしくなる。

阿部「…あ、」

彼は空を見上げる。

私も空を見上げると、満天の星空が見えた。

『こんなに綺麗に見えるんですね！(笑)』

阿部「今日は晴れてよかったです(笑)」

『ええ、本当に(笑)』

どれくらいそうしていただろう。

まるでプラネタリウムにいるかのような星空を、ただ黙って見上げていた。

ときどき、彼の横顔を見ては、素敵だなぁなんて思った。

その度に彼が私に気づいて微笑み、私は慌てて目をそらす。

しばらくして、寒さに少しだけ震える。

阿部「冷えますね」

『そうですね』

阿部「いまから温かい食事でもどうですか？」

『ぜひ(笑)』

阿部「お店は、」

『いつものカフェで(笑)』

私がそう言うと、彼はクスッと笑う。

阿部「はい(笑)」

行きましょう、と彼が言う。

私は頷き、彼の後を歩いた。

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