透明なラベンダー。２ (ページ10)

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会社の近くの公園に向かう。

私たちはブランコに腰掛ける。

そして、目黒くんが静かな声で語り始めた。

目黒「彼女が一度、会社の前まで俺を迎えに来たことがあった」

『去年？』

目黒「そう。そのときにたまたま深澤さんを見てしまった。そして、"忘れていた記憶"が蘇った」

『忘れていた記憶…？』

目黒「まだ俺と付き合う前、彼女と深澤さんは身体を求め合うだけの関係だった」

『それってセ…！』

私は言い切らずに口を噤む。

目黒「その通り。最初は割り切っていたけど、彼女はだんだんと深澤さんにハマっていった」

『…』

目黒「そんな彼女の変化に深澤さんも気づいたんだろうね。"本気になられるのは面倒くさい"って言って、彼女との関係を切った」

ぎゅっと胸が締め付けられる。

目黒「ずっと忘れていたはずなのに、しばらく経って大好きだった人が目の前に現れた。それから彼女は恋人の俺をそっちのけで深澤さんに猛アプローチした」

『目黒くんはその間、どうしてたの…？』

目黒「見ていることしかできなかったよ、ずっと。彼女の目には俺なんて全く映ってなかった」

『そんな…』

目黒「でも、深澤さんは彼女を相手にしなかった。彼は、特定の恋人をつくりたがらない人だから」

彼はきっとそんな人なんだろうと、私も気づいていた。

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