透明なラベンダー。 (ページ12)

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彼は私をじっと見る。

渡辺「…」

『何か？』

渡辺「いや、変なやつだなお前」

『変ですかね？』

渡辺「変だろ」

『どこがですか？』

渡辺「もういいから探せ」

『はい』

再び資料を探していると、棚の上段にそれらしきものが見えた。

『あっ！これだ！』

そばにあった椅子に乗り、手を伸ばす。

渡辺「待てお前、脚立使っ────────────」

資料を手に取った瞬間、バランスを崩す。

『え────────────』

床に転落する直前に、彼が私を抱きかかえる。

その拍子に棚の上から資料がドサドサと降ってくるが、彼が私の上に覆いかぶさる。

渡辺「って〜…」

『渡辺さん！大丈夫ですか！？怪我は！？』

渡辺「バカかお前！ちゃんと脚立使えよ！」

『…すみません』

渡辺「…お前は？」

『え？』

渡辺「怪我はなかったか聞いてんだよ」

『あ、はい、渡辺さんが庇ってくれたので大丈夫です』

渡辺「…別に庇ってねーよ」

私はハンカチを取り出し、彼の頭や肩のホコリを払う。

渡辺「いいって」

彼は私の手を払う。

『でも、渡辺さんのスーツが…』

渡辺「大した汚れじゃねーし」

はぁ、とため息をついた彼に頭を下げる。

『その…助けていただいて、ありがとうございます』

渡辺「またひとつ貸しだな」

『え、』

彼は立ち上がり、資料を手に持ち部屋を出た。

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