桜が舞う頃、君は。４ (ページ21)

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ラウ「…なんで知ってるの」

僕は彼女に進学のことを一度も話していない。

誰から聞いたんだろう。

彼女はその問いに答えずに言う。

『やりたいことがあるなら、迷わずやりなさい』

ラウ「別に、やりたいことはまだわからない。でも…」

『でも？』

ラウ「…もう少し、勉強したいって思う」

『なら、大学に行こうよ。ラウールくんの成績ならきっと大丈夫』

ラウ「簡単に言わないでよ、学費のことだってあるし、」

『そんな心配はあなたに必要ない』

どこかで聞いたような言葉。

ラウ「…わかんない、わかんないよ」

『え…？』

ラウ「Aさんが僕にそこまでする理由って何？そもそも、僕は敵だったはずで…！」

彼女は少しだけ考えてから口を開く。

『私ね、今までの人生を振り返ると、あまり自由ではなかったって思うの』

ラウ「自由…？」

『そう。いろんなものに縛られて、いろんなものを諦めた』

だからね、と彼女は僕の手を握る。

『ラウールくんには同じ思いをしてほしくない』

ラウ「Aさん…」

『あなたは、自由に生きていいんだよ』

ラウ「…っ」

今までの辛かった過去を思い出す。

そして、涙が溢れた。

彼女はそんな僕の頭を、何も言わずに優しい表情をしながら撫でる。

そのとき、僕は思った。

彼女を、信じようと。

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