桜が舞う頃、君は。３ (ページ25)

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矢が刺さった傷口から、血がドクドクと流れる。

ラウ「…っお姉さん！Aさん！」

『やっと、名前で…呼んでくれた…っ(笑)』

ラウ「ごめんなさい…っ、ごめんなさい…っ！」

『…大丈夫、これくらい…』

ラウ「…こっちに！」

彼は私を平坦な場所に連れて行き寝かせる。

ラウ「少しだけ頑張って。傷口を閉じるから」

『え…？』

私の傷口の上で手をかざす。

すると、淡く光を放つ。

『…！？』

血が止まり、傷口が塞がっていく。

『あなた医療術が使えるの！？』

ラウ「…うん、教えてもらったんだ、あの人に」

『阿部くんに…？』

彼は頷く。

ラウ「"君にはその才能があるから"って」

『…そっか』

ラウ「治ったよ」

『ありがとう』

ラウ「…じゃ、」

立ち上がろうとした彼の手首を掴む。

『待って。どこへ行くつもり？』

ラウ「だってもうどこにも戻れない」

『戻れるよ』

ラウ「無責任なこと言わないでよ…！」

『じゃあ、約束する。私と一緒に来なさい』

ラウ「大人はみんなそうだ！そう言っておいて最終的には俺を突き放すんだ…！」

両手で彼の手を握る。

『…あなたはもう、苦しまなくていい』

そう言うと、彼はまた大粒の涙を流す。

ラウ「…本当に、戻れるの…っ？」

『私があなたを戻すから』

ラウ「ありがとう…っ」

子どものように泣きじゃくる彼の頭を優しく撫でる。

『行こう』

彼は頷き、私の手を握ったまま歩き出した。

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