桜が舞う頃、君は。３ (ページ13)

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阿部「ああ…佐久間か」

『答えて』

阿部「だって、気づかれちゃったからさ。あいつほんと勘が鋭いよね」

『それだけで…瀕死の状態になるまで…』

阿部「佐久間がさぁ、俺に言うんだ。"何か悩みがあるなら俺に話してくれ！"って。敵の俺にだよ？お人好しにも程があるよ」

『…っ』

阿部「だからうざくて、殺してやろうって思った。でもその言い方だと生きてたんだね。しぶといなあ」

怒りが込み上げる。

『あなたねぇ…！』

阿部「でも残念だったよ。佐久間の姿を見たAちゃんの表情が見られなくて」

『は…？』

阿部「絶望と悲しみで、とっても良い表情をしていたんだろうね(笑)」

私は刀を抜く。

阿部「おっと」

植物の蔓が私の腕に巻き付き、動きを止める。

『離せ…！』

阿部「その顔すごく良いよ(笑)」

そう言って楽しそうに笑う彼を睨みつける。

『あなたは私の魂を使って何をする気なの！？』

阿部「大丈夫、魂を使わせてもらうけれど、少しは残しておくから君は死なないよ」

『…！？』

阿部「俺はこの世界が嫌いだ。頭の悪い人間たちが、腐った世界を作ってるなんて笑わせる」

ギリギリと蔓が私の身体に絡みつく。

阿部「そんな奴らも、邪魔する奴らも全員殺して、新しい世界を作ろうよ」

『新しい、世界…？』

阿部「そして俺たちはふたりきりで暮らすんだ。素敵でしょ？」

『狂ってる…！』

阿部「狂ってる？なぜ？」

『そんなの、誰も幸せになれない…！』

阿部「それを決めるのは俺だよ」

彼は術を解き、私は床に倒れ込んだ。

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