桜が舞う頃、君は。 (ページ10)

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妖狐ページ10

＊

私たちは夜の町を駆ける。

佐久間「俺たちの初任務だ～！(笑)」

阿部「はしゃぎすぎだよ」

渡辺「…フン」

『深澤さん、場所は？』

深澤「ここからすぐの山中で、妖狐が暴れてるらしい」

『妖狐程度なら、私たちが行かずとも他の妖祓いたちが…』

深澤「いや、ただの妖狐じゃないらしい」

『え…？』

そのとき、前方の山からドン、という音が聞こえた。

メキメキと木が倒れていく。

そして、凄まじい妖力を感じた。

深澤「どんどん力が増してる。一般人に被害が出る前になんとかしないとまずいな」

『ですね』

渡辺「あんなの俺だけで十分だ」

渡辺さんは先に向かう。

『待ってください！単独行動は危険です！』

渡辺「俺に指図すんじゃねぇ」

阿部「翔太！」

私たちは彼を追った。

『この辺りのはずです』

深澤「…いたぞ」

そこには、異様なオーラを発する巨大な狐がいた。

その近くには渡辺さんもいる。

『あれは確かに、ただの妖狐じゃない…！』

佐久間「デカすぎる！」

阿部「迂闊に手を出せない…！」

妖狐はウォォォ、と唸り声をあげる。

渡辺「俺が祓ってやるから大人しくしてろ」

彼は刀を抜き、構える。

直後、空が雲に覆われ雨が降り出す。

『雨…』

渡辺「"小夜時雨(さよしぐれ)"」

雨に紛れ瞬時に移動した彼は妖狐に斬りかかった。

＊