桜が舞う頃、君は。 (ページ5)

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『体調はどう？』

母「今日は起き上がれるくらいに調子が良いわ(笑)」

『よかった』

母「それはそうと─────────あの人はいつ帰ってくるかしらねぇ」

『だから、お父様はもう…』

母は父が亡くなったショックで、心を閉ざしてしまっていた。

祖父までもが死んだと言っても、今の彼女には届かないだろう。

母「帰ってきたら、食事にしましょうね(笑)」

私に微笑みかけた後で、庭に視線を移す。

母はずっとこうして、父の帰りを待っている。

あの日から、ずっと。

『…うん』

母の部屋を出る。

使用人「お嬢様、深澤様がいらっしゃいました」

使用人の後ろには、深澤さんが立っていた。

深澤「そろそろ時間だ」

私は使用人に言う。

『お母様のこと、頼みます』

そして、実家の屋敷を出た。

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鷹揚会本部に到着し、門をくぐる。

相変わらず広い屋敷だ。

綺麗に手入れされた日本庭園には、翼を広げた鷹のオブジェが置かれている。

鷹揚会とは、全国の異能者たちを統括し取り仕切る組織である。

妖祓いを全国各所に振り分けるのも彼らだ。

よって、彼らの命令には基本的に従わねばならない。

深澤「深澤です。桜雪Aを連れてきました」

幹部「入れ」

部屋に入ると、幹部たちが揃っていた。

その威圧感に押され怯むが、なるべく表情を崩さぬようにした。

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