桜が舞う頃、君は。 (ページ34)

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私たちは池の鯉を眺める。

宮舘「警察から連絡がありました。先程、廃校から5人分の骨が見つかったそうです」

『…そうですか』

宮舘「怪我は大丈夫ですか？」

『はい。なんとか』

宮舘「うちの岩本がご迷惑をおかけしました」

『いえ、そんな。妖も祓うことができましたから』

宮舘「妖祓いの仕事は…やはりとても危険なのですね」

『…はい、とても』

鯉が泳いでいるのを、彼はじっと見つめる。

『宮舘さん、あなたは妖を見てもあまり動揺しなかった。一般人のはずのあなたがです。それはどうしてですか？』

宮舘「…」

『渡辺さんと何があったんですか？教えていただけませんか』

彼は一呼吸おいて、答える。

宮舘「…小さい頃、人ではない怪しいものに襲われかけたことがあるんです。今思えば、あれは妖だった。そのとき、俺を翔太が助けてくれたことがあるんです」

『…』

宮舘「彼とは生まれた病院が一緒で、何をするにもずっと一緒でした。そこに"彼女"もいた」

『彼女…？』

宮舘「後に翔太の婚約者になる女性です」

『え…！？』

渡辺さんに婚約者がいたなんて…

宮舘「俺たち3人は仲が良かった。けれど、俺だけがいわゆる"一般人"で、2人は妖祓いの家系に生まれていた。成長するにつれて、2人が全く別世界にいるのだと感じた」

『…私たち妖祓いは、あまり一般人とは親しくなりませんから』

宮舘「それでも、幼なじみなことは変わりありません。俺は2人が大事な存在でした。それは2人も同じだった。でも…」

『でも…？』

宮舘「…あの日、俺たちはバラバラになった」

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