桜が舞う頃、君は。 (ページ27)

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雨が降る日。

傘を差しながら出かけた。

"彼女"のところに行く日は決まって雨だ。

彼女の名前が書かれた墓の前で、俺は立ち止まる。

花束を供えて、手を合わせる。

宮舘「翔太、」

その声で振り向くと、花束を持った涼太が立っていた。

渡辺「お前も来てたのか」

宮舘「うん、今日は彼女の命日だから」

彼も花を供え、手を合わす。

宮舘「…もう2年か」

渡辺「…アイツが死んで、世の中は何か変わったか」

宮舘「…いや、変わったようには思えない」

渡辺「そうだろ。変わらないどころかむしろ悪化してる」

宮舘「翔太はいつまで妖祓い(その仕事)を続けるつもりだ？」

渡辺「なんだよそれ」

宮舘「もう、辞めないか」

渡辺「言ったろ。俺は死ぬまで妖を祓い続ける」

宮舘「忘れてないよな？」

渡辺「何をだ」

宮舘「彼女は、お前に平穏な日々を過ごして欲しくて────────────」

渡辺「その話はもういい」

宮舘「ちゃんと聞いてくれ」

渡辺「もうほっといてくれよ！」

大声が強い雨の中に消えていく。

渡辺「"一般人"のお前に何がわかんだよ」

宮舘「…」

渡辺「うぜえんだよ。そういうの」

黙って立っている彼に背を向ける。

渡辺「俺に関わるな」

俺はそう言って歩き出す。

雨は止む気配もなく、降り続いていた。

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