君と私とチョコレート。

＊ ページ23

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深澤さんが帰り、私は後片付けをする。


『照、深澤さんからもらったチョコレート食べないの？』


岩本「…」


彼は黙ってお酒を飲んでいる。


『照ー？』


岩本「後で食べる。Aが食べたいなら先に食べててもいいよ」


私は彼の顔を覗き込む。


岩本「…なに、」


『なんでさっきから拗ねてるの？』


岩本「別に拗ねてない」


『うそだー、なんか変だよ』


すると、彼は小さく言う。


岩本「…ふっかは良い奴だけど、女たらしなところがある。だから…」


『だから？』


岩本「その、気をつけろっていうか」


『くすっ(笑)』


岩本「…？」


『私だって、それくらいわかってるよ。深澤さんが口上手なことくらい(笑)』


私は深澤さんからもらったチョコレートの封を開ける。


『だいたい、彼は私なんかを相手にするようなタイプじゃなさそうだもの。だから大丈夫、安心して(笑)』


はい、と彼にチョコレートの箱を渡す。


彼はひとつ取って食べた。


岩本「…それにしては、あいつに褒められてまんざらでもなさそうだったけどな」


『確かに、可愛いなんて久々に言われたから嬉しかったかも(笑)』


岩本「…」


彼はまたしかめっ面になる。


私はそんな彼を見て、言う。


『あ、もしかして妬いてるの？(笑)』


岩本「…は？」


『なんだかやきもちみたいだなって(笑)』


岩本「…そんなんじゃねえよ」


彼はそう言うと、席を立つ。


『あ、ちょ、』


バタン、とドアが閉まった。


…冗談で言っただけなのにな。


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