３１＝狡猾に ページ31
いつもの仮面が少しずつ、確かに崩れて…
今まで寂しく感じていたAの作り笑顔が、
単調な声色が、
いま、ぜんぶ、取り繕う為だと思うと…
「ふっ、ふふふ、あははは!」
「フロイ…?」
「ごめんごめん、ふふふ」
いま、目の前にいる彼女が
「───A、可愛いね」
Aが、
どうしようもなく愛おしく感じた。
「へ………?」
震えた声を出したAの唇は水を含んで小さくふるえて
少し肌寒い外気に触れている頬は赤みを帯びて、
見つめるAのまるい瞳は熱を帯びて潤んで揺れていた。
その視線に、心臓を射抜かれたみたいに
息ができなくなった。
「ｯ…ところで、Aはどうして此処に?」
無理矢理動かした自分の喉はちゃんと声を発せていたかは分からない。
全力疾走した後みたいに、心臓の音が耳まで轟き響いて
自分の声が、よく聞こえなかったのに、
「実家へ…諸事情の連絡を…」
それを聞いて、大きく心臓が跳ね上がって
「もしかして、帰るとか…」
「!?、いいえ、そういうわけでは…」
その言葉を聞いてホッと心音がおさまっていく。
「そういうフロイこそ、此処でどうしたのですか?」
「…あぁ、Aに聞きたい事があって」
気づけば、Aはまたいつもの作り笑顔に戻っていた。
ポケットに手を入れ、生徒手帳に触れて
「………。」
ある懸念点に一度躊躇って、引き抜いた。
試すような事をしてごめんね、
「これ、今日の試合をやったスタジアムに落ちてたんだ」
ねぇ、A
「うちの学校の生徒手帳なんだけど…、持ち主が分からなくて…」
A、本当は…
スタジアムにいたの……?
差し出した生徒手帳を受け取って、中身を確認したAの表情は…
仮面のまま、崩れない。
ねぇ、さっきみたいに…本当の表情見せてよ、
完璧を演じなくていいから、
「フロイ、持ち主が分からないって言いました?」
どうか、表情を崩せ
「名前の部分が漢字で読めなくて。日本語っぽかったからさ」
綻びを見せろ───
「───留学生の補講授業を受けてるAなら持ち主が分かるかなって、」
Aのであってくれ────────
「きっと、Aの知ってる子だと思うんだ」
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露図夢(プロフ) - ･:*+.\(( ^^ ))/.:+さん» 更新停止表示になってましたか…！！それでも読んでくれて感激です…！！年末になるにつれて忙しくなりそうなので、遅い更新ペースですが読みに来てくれたら嬉しいです！ (2021年9月20日 19時) (
レス) id: b186ec5ac1 (このIDを非表示/違反報告)
･:*+.\(( ^^ ))/.:+ - 更新停止中でも読めるとこまで読んでみようとして正解でした！更新、できたらお願いします！ (2021年9月12日 19時) (レス) id: 98cc6c3041 (このIDを非表示/違反報告)
露図夢(プロフ) - ルミカさん» いつでもコメントして頂いていいですよ！とても嬉しいです！ありがとうございます！！ (2021年2月21日 12時) (レス) id: 16d9d2f0e9 (このIDを非表示/違反報告)
ルミカ - フロイくんがめちゃめちゃかっこ可愛く書かれてて，とにかくめっちゃ面白くて最高です！！（いきなりコメしてすみません）応援してます！頑張ってください！！ (2021年2月18日 8時) (レス) id: 5a1a3bf3cb (このIDを非表示/違反報告)
露図夢(プロフ) - みっちゃんさん» きてくれたんですね！ありがとうございます！頑張りま〜す！！ (2020年10月26日 13時) (レス) id: b186ec5ac1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露図夢 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rozumu31/
作成日時：2020年10月25日 20時
