巾着袋ト微笑ウ女 ページ1
それは、何もない平和な昼下がりに起きた出来事だった。
「すみません。太宰 治さんは居りますか?」
「......え?」
僕の名前は中島 敦。少し前までは、住んでいた孤児院を追い出され、行く宛も無く、ヨコハマの街を餓死寸前になりながら徘徊していた。今は少々縁有って、『武装探偵社』と云う職場に勤めさせて貰っている。
此れから、探偵社の先輩と一緒に街の巡回に向かおうと思っていた時だ。木製の扉が開いて、その人は現れた。
緩く癖のある薄茶の長髪、瑞々しく熟れた果実を思わせる赤い唇。香水だろうか?ふわりと香る、花の様な甘い薫り。
まるで
「......あの、大丈夫ですか?」
すると、先刻から全く反応を返さない僕を可笑しく思ったのか、女性は眉を八の字に下げつつ、心配そうな口調で尋ねてくる。
「あ、嗚呼!すみません、大丈夫です。太宰さんでしたね......今呼んできますから、中に入って待っていてくれますか?」
「御親切に有難う御座います。でも、大した用では有りませんから、このお弁当を彼の人に届けに来ただけで......」
「え?......お弁当?」
女性が肩にかけていたトートバッグから出した物は、紺色の巾着袋に入った弁当箱。
手に持って微笑う女性の頰は、微かに赤く染まっていた。何だか、話が亦ややこしくなりそうな予感がした、其の時だった。
「おや? 話し声がすると思えば、君だったのかい。A」
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ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます! いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます!嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね!羨ましいです! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます!成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です! (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております!笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 初めまして!いつも!? え、え、有難うございますっ 楽しく!?...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね!感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年5月27日 11時