透明少女と彼女の人外【ライラ】 ページ4
「君はスライムなのかな?」
その言葉に返ってきたのは戸惑いとか、納得と言った表情だった。
「多分そうなんじゃね?」
返事はそんなあっけらかんとしたもので。
結局何なんだろう? と、私に首を傾げさせたものだ。
私が見たことのあるスライムは、全て潰れた水饅頭のような形をしていたし、人間の形をしたスライムなんて聞いたこともなかったから。
私は深く聞くことはせずに、そっか、と頷いてその人外の隣に座った。
なんて危ないことをするんだろうと、少しガスパーを知った私は思うが、人外でもいいから人の近くにいたかったのだ。
それからポツポツと話をした。
私が聞いて、人外が答える。人外も時折質問を返して、私も答える。
それでわかったのは、見た目がかなり人間らしくても、やはりこの男は人外なのだ、と。
聞いてみれば人を食べたこともあるらしい。
見知らぬ人、しかも過去の出来事だからか少しの恐怖すら抱かなかったが、これは危ない生物なんだろうとは思った。
傍を離れる気にはどうしてもなれなかったのだが。
しかし、と私は考えた。
私が今ここで食べられようが特に構わないが、放置するのはまずくないか? と。
知ってしまったからには、人喰いの人外を野放しするのも気がひける。
そこで、私はこの人外と離れがたかったこともあり、ある申し出をしてみた。
「良ければうちに来ない?お腹も空いているようだし、食事をご馳走するよ。とても美味しい料理とは言えないけど……生よりはきっと美味しいと思うよ」
チラリ、と消化中の生魚に視線を向けたその提案は、果たして快諾され。私はその人外を家に連れ帰ったのだった。
透明少女と彼女の人外【ライラ】→←透明少女と彼女の人外【ライラ】
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:氷渡ミオ | 作成日時:2018年9月14日 23時