検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:2,193 hit

透明少女と彼女の人外【ライラ】 ページ4

「君はスライムなのかな?」

その言葉に返ってきたのは戸惑いとか、納得と言った表情だった。

「多分そうなんじゃね?」

返事はそんなあっけらかんとしたもので。
結局何なんだろう? と、私に首を傾げさせたものだ。
私が見たことのあるスライムは、全て潰れた水饅頭のような形をしていたし、人間の形をしたスライムなんて聞いたこともなかったから。
私は深く聞くことはせずに、そっか、と頷いてその人外の隣に座った。
なんて危ないことをするんだろうと、少しガスパーを知った私は思うが、人外でもいいから人の近くにいたかったのだ。

それからポツポツと話をした。
私が聞いて、人外が答える。人外も時折質問を返して、私も答える。
それでわかったのは、見た目がかなり人間らしくても、やはりこの男は人外なのだ、と。
聞いてみれば人を食べたこともあるらしい。
見知らぬ人、しかも過去の出来事だからか少しの恐怖すら抱かなかったが、これは危ない生物なんだろうとは思った。
傍を離れる気にはどうしてもなれなかったのだが。

しかし、と私は考えた。
私が今ここで食べられようが特に構わないが、放置するのはまずくないか? と。
知ってしまったからには、人喰いの人外を野放しするのも気がひける。
そこで、私はこの人外と離れがたかったこともあり、ある申し出をしてみた。

「良ければうちに来ない?お腹も空いているようだし、食事をご馳走するよ。とても美味しい料理とは言えないけど……生よりはきっと美味しいと思うよ」

チラリ、と消化中の生魚に視線を向けたその提案は、果たして快諾され。私はその人外を家に連れ帰ったのだった。

透明少女と彼女の人外【ライラ】→←透明少女と彼女の人外【ライラ】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:氷渡ミオ | 作成日時:2018年9月14日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。