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8話 ページ8




そろそろ湊くん来るかな…

私はさっきまで読んでいた本を閉じ、ベッドの上に寝転がった。

結局、今日も保健室にいることになった。

家に帰っても誰もいないし、ここに居た方が楽なのだ。

時計を見ると、もうすぐ授業が終わる時間になっていた。

ガラガラッ

扉の開く音がしたので起き上がる。

ドアの方を見るとそこには湊くんの姿があった。

彼は私を見つけると嬉しそうな表情をした。

私も思わず笑顔になる。

「迎えにきたで〜!」

そう言いながら彼は近付いてくる。

『ありがとう。もう準備万端だよ。』

「おっけー!じゃあ行こか!」

私たちは並んで歩き出した。

昇降口を抜け校門を出る。

しばらく歩いた後、彼は急に立ち止まった。

不思議に思って振り返ると、真剣な眼差しで私を見つめている。

どうしたのだろうと思っていると、彼は突然私に手を差し出してきた。

『えっと……?』

何のことだろうと思って首を傾げていると、彼は不思議そうな顔をして言った。

「手、繋がんの?」

その言葉で理解した。

彼は、私が迷子にならないように手を繋いでくれると言っているのだ。

恥ずかしいけれど、迷子になっちゃうよりはマシだと思い、彼の手を握った。

すると、彼は優しく微笑み、ゆっくりと私の手を握り返してくれた。

そのまま並んで歩く。

心臓がドキドキと音を立てているのがわかる。

「どっか行きたいとこある?」

聞かれて考える。

遊園地とか水族館とかいろいろ考えたけれど、やっぱり1番最初に思いついたのは本屋さんだった。

でも、いきなりそんなことを言い出して変に思われないか心配になった。

せっかく誘ってくれたんだし、ここは遠慮せずに行こう。

私は意を決して答えた。

『……本屋さんに行きたいです。』


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作者名:おふとん天使 | 作成日時:2023年7月11日 8時

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