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7話 ページ7




『どうしよう……』

私は今、人生で1番のピンチを迎えていた。

それは、湊くんにジャージを返さなくてはいけなくなったことだ。

もちろん洗濯をして綺麗にして返すつもりだが、教室にすらまともに行けない私が、彼に会いに行って話しかける??

無理だ。

絶対にできない。

でも、このままでは借りっぱなしになってしまうし……

と、そんな訳で頑張って昼休みに彼の教室の前まで来たのは良かったのだが、そこで足を止めてしまった。

やっぱり、引きかえすべきかな……

でも、せっかくここまで来ちゃったし……と迷っているうちに、誰かに肩を叩かれた。

ビクッとして振り返るとそこには優しそうな女の子がいた。

「誰かに用事?私呼ぼうか?」

『あ、えっと……うん。人を探してて……不破湊くんって言うんだけど…』

彼女はわかったと言って優しく微笑んだ。

それから教室に入り、また出てきた。

「今呼んだからすぐ来ると思うよ。」

『ありがとう、ございます。』

また人に頼ってしまった。

申し訳なくて俯いていると、優しく声をかけられる。

「気にしないで。困った時はお互い様だからね。」

彼女はそう言って、また微笑んだ。

『ありがとう。』

なんて優しい人なんだろう。

「それじゃあ。」

女の子が去って、それからちょっとして湊くんが来た。

「あれ?Aちゃんやぁ〜!どした〜?」

明るい声でこちらに駆け寄ってくる。

『あの、これ……ジャージ返しに来たの。』

そう言って上着を差し出すと、彼は少し驚いたような顔をして受け取った。

「わざわざありがとう。」

『ううん、こっちこそありがとう。』

それから少しの間、沈黙が続いた。

何を話せば良いかわからず戸惑っていると、先に口を開いたのは彼の方だった。

「Aちゃん、今日暇?」

『特に用事はないけど……』

「じゃあ今日放課後一緒に遊ばん?」

予想外の言葉に戸惑った。

いつもだったら…

いつもだったら断るはずなのに、どうしてか今日だけは違った。

もっと彼と仲良くなりたいと思ったのだ。

『うん。遊ぼ。』

そう答えると彼は嬉しそうに笑った。


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作者名:おふとん天使 | 作成日時:2023年7月11日 8時

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