幻想【fw】 (ページ5)

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5話ページ5

＊

『不破湊くんでしょ？……知ってる。』

沈黙を破るように私が言うと、彼は驚いたような顔をした。

それから、小さく笑った。

その笑顔を見たとき、胸の奥で心臓が大きく跳ね上がるような気がした。

初めて会ったはずなのに、どこか懐かしくて暖かい気持ちになるのだ。

私が戸惑っていると、彼も同じことを考えていたようだった。

「なんだろ、なんか今日が初対面じゃない気がするわ。」

『私も、そう思ってた。』

なんだか不思議な気分だ。

今まで他人に興味なんてなかったのに、今はもっと知りたいと思っている。

それがなぜなのか、私にもわからなかった。

「先生に見つかったらヤバイし、そろそろ帰らん？」

確かに、もうすぐ見回りの時間だ。

先生に見つかれば怒られるかもしれない。

『うん、そうだね。』

私が立ち上がって服を絞っていると、急に彼があっと大きな声を出した。

驚いて振り返ると、彼は顔を逸らしていた。

なんだろうと首を傾げていると、今度は少し遠慮がちに小さな声で呟く。

「服……透けてんよ。」

自分の姿を見ると、シャツが濡れていたため下着がうっすら見えてしまっていた。

慌てて隠すと、私は彼に背を向けた。

見られた……

先生じゃなくてよかったかもしれない。

いや、全然良くないけど……

どうしようかと考えていると、後ろから声をかけられた。

振り返ると、彼にジャージを差し出された。

＊