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4話 ページ4
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ただ、水の中にいるだけだった。
もがきもしなかったし、何かを考えていたわけでもない。
ただ、そこに浮かんでいただけだ。
でも、何だろう。
すごく満たされた気分だ。
身体の中にあったものが全部出て行くような。
そんな感覚だ。
バシャン！
横で大きな音がしたのでそちらを見る。
綺麗な紫色の瞳と水越しに目が合った。
彼は私の腕を掴み、思い切り水面へと引き上げた。
気がつくと、そこは学校のプールサイドだった。
私はまだ夢を見ているのかと思ったけれど、違うらしい。
目の前にはさっき見たばかりの彼がいた。
「大丈夫……？天野さん、だよね？溺れてたからビビったわ……」
どうやら私を助けてくれたのはクラスの人気者のようだった。
『ありがとう……助けてくれて。』
別に溺れてないって思ったけど、ここは素直にお礼を言った。
私が無事だとわかると、彼はほっとした様子だった。
それから心配そうな顔をして尋ねてきた。
「保健室登校だって聞いてたんだけど…ってか俺のことわかる？」
保健室登校だって、どうして知ってるんだろう。
まさか、あの先生が話したのかな。
きっとそうだ、そうに違いない。
あの先生はそういうことをベラベラ喋りそうな性格だし……
また涙が出そうになった。
何も答えられずにいると、彼が慌てたように言う。
「あ、ごめんな！！いきなり言われても困るよな……」
それから少しの間沈黙が続いた。
彼のことをちらっと見ると、こちらを見てはいなかった。
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作者名：おふとん天使 | 作成日時：2023年7月11日 8時
